第23話 コンドルスター
私は家に戻って勉強を再開した。本屋で買った雑誌を、同じく本屋で売られていたコンドルスターのCDを聴きながら読んでいく。コンドルスターはリーダー【
5人ともイケメンくんだ。まあ、私から見るとまだ幼さの残る顔立ちではあるが。
曲は私のようなオジサンでも歌詞も良くて、テンポは早いけど滑舌良く歌っているので聴きやすい。雑誌を読み終わり、何気にCDの歌詞カードを見てみると、全15曲のうち12曲の作詞をリーダーの
そして、残り3曲の作詞者は【7月7日】と書いて【たなばた】のルビが振ってある。もしかして弥生が書いたのだろうか? 私には15曲全てが聴きやすかったが、特にこの
勉強を終え、風呂にも入り、食事も終えた私は深夜番組を眺めていたが、この日の番組には深野涼子さんの娘さんは出てないようだった…… というか男性タレントしか映ってない。私はそんなに上手くはいかないかと苦笑しながら就寝した。
翌朝私は事務所に向かう。今日は東郷さんよりも早く着いてやるという謎の意地を持って、早く家を出た。何と事務所を開けるタカフミさんと一緒に家を出たのだ。コレならば勝ったと思ったのもつかの間…… 既に昨日の時点でタカフミさんの信頼を勝ち取っていた東郷さんは、タカフミさんから鍵も預かっており私たちが事務所に着いた時点で既に来て事務所を開けていた。
ま、負けた…… 何故か敗北感がこみ上げてくるが、そんな私の神経を知ってか知らずか東郷さんが言う。
「おはようございます、社長、タケフミくん。2人とも早いですねぇ。特にタケフミくんは早く来すぎだよ。10時にならないとコンドルスターの面々は到着しないよ」
因みにだが、真理ちゃんの初出勤は来月頭からになる。教習所の方に今月20日まで勤める事になっているからだ。面接時にちゃんと真理ちゃんからタカフミさんにその話をしている。
そして、就業時間の10分前に
「あの、
素晴らしい。こんなにもちゃんと挨拶が出来るんだ。きっと立派な戦力に早い段階でなってくれるだろうと私は思う。
そして、東郷さんも香山くんに挨拶をしている。香山くんは東郷さんも今日から勤め始めたと知り少し驚いていたけど。まあ無理もないか。見た目でいうとベテランさんだからなぁ。
そして、そんな2人にタカフミさんがあと1人、女性の方も居るけど、その人は来月頭からになりますと説明していた。
そして、香山くんが私を見る。
ん? 何だろう、私の顔に何かついてるのかな? そう考えていると東郷さんが私について説明を始めてくれた。
「ああ、シンゴくん。この人はね、ボディガードを
ああ、そうか…… 私が誰か分からなかったから、私を見ていたんだな。これは香山くんに悪い事をしてしまった。私は頭を下げながら香山くんに名乗った。
「挨拶が遅れました。こちらのタカフミ社長に依頼されて、本日より仕事に取り掛かる事になった
「あ、いえ、はい。本日より事務所の職員になりました、
そして、私は手持ち無沙汰になってしまった…… それもそうだよな、10時の約束に8時半よりも30分も早く来て、何をするというのか……
東郷さんと香山くんはタカフミさんから仕事の説明を受けており、質問しながら着実に仕事を
そして、9時半を過ぎた頃に弥生と共にコンドルスターの面々が到着した。
「あら、タケ
事務所に入ってくるなり私を見つけた弥生がそう声をかけてきた。
「いや、待たせるのも悪いと思って。少し早めに来たんだよ」
私の言い訳にふーんと言いながら弥生がコンドルスターの面々の方を見るとファンサービスをしているようだった。さすがに今、顔と名前が売れ出したグループなだけあって、ココまで来る間にファンに見つからない筈は無かった。
そして、着いてきたファンに嫌な顔をせずに対応している彼らを見て私は凄いなと素直に感心していた。
勿論、私もただ見ていただけではない。
そして、集まったファン全員との交流が終わるとリーダーの桜田くんはファンの娘たちに声をかける。
「ここには普通に暮らしている方たちも多く居ますから、今日だけは対応しましたけど、近隣に住まれてる方の生活を優先しなくてはならないので、今後はこのような対応はできません。どうか、理解して了承してくださいね。それと、明後日から始まるライブをどうか見に来てください、よろしくお願いします!」
「「「「よろしくお願いしまーす!!」」」」
4人のメンバーも頭を下げてファンにそう言った。ファンの娘たちはそれに分かったーって返事をしながら大人しくその場を去っていった。
そして、事務所に入ってくるコンドルスターの5人。外から見えない位置まで進み、タカフミさんに言った。
「社長、今日は股間に手を伸ばしてくる人は居ませんでした。良かったです」
「そうか、まともなファンの娘たちだけだったんだな。コレからもそういう娘たちだけとは限らないから、
タカフミさんから紹介された私は5人に向かって頭を下げながら自己紹介をした。
「はじめまして、今回、コンドルスターの護衛依頼を受けた
5人は年下の自分たちにこんな丁寧な物言いをするんだという感じで驚いているが、そこに弥生が声をかけた。
「コレが依頼を受けて仕事をする【プロ】の証明よ。あなた達はタケ
うん、弥生よ、あまり持ち上げてくれるな。私はまだプロの自覚は無いんだ…… ただ、
それから弥生が私に振り向いて2冊の写真集を手渡してきた。
コ、コレはまさか!?
「はい、お待ちかねのモノよ。深野さんが一度タケ
グッ! 護衛対象者がいるので、爆発しそうになる喜びを私が懸命に堪えたのは褒めて貰っても良いと思うのだ……
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