今カノと元カノが〇〇なんて聞いてないんだが?

白野さーど

第一章ですっ♡

第1話 僕と……付き合ってくださいっ!

「僕と……付き合ってくださいっ!」




 季節が春から夏へと変わっていく、ある日の放課後。


 人気ひとけの少ない校舎裏で、俺・高谷たかや未希人みきとは、人生で二度目の告白をした。


 一度目は……覚えていない。いや、思い出したくないのだろう。


 ……って今は、そんな過去のことは置いといて……。


「………………」


 目の前の少女は、目を逸らすことなくじっとをこっち見ていた。


 彼女の名前は、くりざわ凛々葉りりは


 一つ年下の後輩で、入学早々、学年問わず男子からの人気を集めていた。


 サラサラとした栗色ボブの髪、きめ細やかな白い肌、まん丸でつぶらな瞳、ピンク色の唇はキュッと小さい。


 小柄なこともあって、小動物のような愛くるしさを感じさせる。


 キュートという言葉は、彼女のためにあるとさえ思えてくる。


 そして、なにより………………他の人と漂わせているオーラが違った。


 ラブコメで言うところの、メインヒロインのような圧倒的な存在感と人を惹きつける魅力。その両方を彼女は持ち合わせていたのだ。


 そんな彼女のことを知ったのは、二年生になってすぐの頃。


 一年生にとびっきりの美少女が入学してきたと、学校中(男子の中)で話題になっていた。


 聞いた話では、既に約半数の男子が告白し、その全てが散っていったらしい。


 これだけモテるのも無理はない。彼女のルックスがそれを証明しているのだから。

 

 最初は、「ふーん」っと軽く聞き流していたのだが、親友が入手した写真を見せてもらうと……俺は言葉を失った。




 ――見惚れてしまったのだ。




 完璧なカメラ目線で、微笑みながら小首を傾げている彼女に……。


 少女という枠組みに収まらないその妖艶さは、一瞬にして俺を魅了した。


 ……おっと、ここまで説明が長くなってしまったが、とにかくこの告白次第で残りの高校生活が決まると言っていい。


 高校生活も気づけば、二年目。このままなにも起きずに終わりたくないっ。ならば、することは一つしかない。


 そう、彼女を作ることだっ!!


 と思って実行に移すまではよかったが、実際は期待薄だったりする……。


 内心では、答えを聞く前から諦めかけて…――




「――いいですよ」




 やっぱり、そうだよな……俺みたいな普通な奴に告白されて、OKを出す訳が………………ん?


 今、『いいですよ』って言っていたような気が………………んん!?


「え、ほっ、ほんとにいいの……っ!!?」

「……はい」

「…………っ!!」


 予想外の状況に脳が追い付いていない俺に、彼女は言った。


「これから、よろしくお願いしますっ。未希人せんぱい……っ」




 ――その日、俺に彼女ができましたっ。

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