今カノと元カノが〇〇なんて聞いてないんだが?

白野さーど

第一章ですっ♡

第1話 僕と……付き合ってくださいっ!

「僕と……付き合ってくださいっ!」




 季節が春から夏へと変わっていく、ある日の放課後。


 五月の涼しい風が吹き抜ける校舎裏で、俺は人生で“二度目”の告白をした。


 肩をくすぐる栗色の髪を靡かせ、見定めるような目で見つめてくる彼女に……。


「………………」


 くりざわ凛々葉りりは


 新入生の彼女は、入学早々、学年問わず男子たちからの人気を集めていた。


 きめ細やかな白い肌、まん丸でつぶらな瞳、蕾のようにキュッと小さいピンク色の唇。


 華奢な体が小動物のような愛くるしさを感じさせる。


 カワイイ――という言葉は、きっと彼女のためにあるのかもしれない。


 そう思ってしまうほどの、圧倒的なヒロイン力と人を惹きつけて離さない魅力。その両方を彼女は持ち合わせていた。


 そんな彼女のことを知ったのは、一学期が始まってすぐのことだった。


 とびっきりの美少女が入学してきたと、学校中(男子の中)で話題になっていたのだ。


 最初は、親友が饒舌に語る彼女の噂話を「ふーん」と軽く聞き流していたのだが、後日、親友が入手したという写真を見せてもらうと……俺は言葉を失った。


 ――――…可愛い。


 それは、人生で“二度目”の一目惚れだった。


 完璧なカメラ目線で小首を傾げ、少女という枠に収まらない妖艶な笑みを浮かべる彼女に……俺は魅了された。


 高校生活も、気づけば二年目。このまま、なにも起きずに終わりたくないのなら……することは一つ。


 ――そう、彼女を作ることだ! ……しかし。


 決意を胸に、告白に至ったのは……なんと五月半ば。


 というのも、聞いた話だと既に同級生のおよそ三分の一の男子生徒が告白し、その全てが散っていったというのだ。


 それを聞いたときは、驚きを通り越して、言葉が出てこなかったことをよく憶えている。


 あれだけモテるのだから、無理もないだろう。彼女のルックスがそれを証明しているのだから。


 内心では、答えを聞く前から諦めかけて…――




「――いいですよ」




 ――そうだよな……俺みたいな個性もなにもない普通フツーな奴なんかが告白しても、OKなんて貰えるわけが……


「……え? ……ほっ、ほんとに……いいの……っ!!?」

「はい……っ」


 目の前の少女が頬を赤らめてコクリと頷く。


「…………っ!!」


 予想外の状況に脳が追い付かない俺に、彼女は頭を下げながら言った。


「これから、よろしくお願いします。高谷たかや……せんぱい……っ」

「っ……あ、こちらこそ、よ、よろしく……っ!!」


 慌てて頭を下げると、前の方からクスクスっと声を抑えた笑い声が耳に入った。


 ――うぅぅ……こっちまで顔が真っ赤になりそうだ……。




 その日、俺に彼女ができた。でも、まさか彼女が…――――

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