拾いっ子姉妹?

Rod-ルーズ

第1話 雨に濡れし拾い子

ザーザーと肌に叩きつけられる雨、もうどのくらい経ったか分からない。先ほどから身体全体からの震えが止まらない、きっと風邪でも引いただろう。

15の少女には過酷なすぎるだろうが、彼女に手を差し伸べるものは今のところ0だ。



豪雨の中、傘も刺さずに雨に打たれていた。いらない子扱いされた私には、今さっきまであった温かな家にも入る事はできない。

何が悪かったのかを考えてみるけど、思い当たる節は見つからない。それに、あの家には帰りたい気持ちはなかった、あの2人には優しく接していたが何処か壁があるように感じたから。


「まぁ、どうでもいいっか…私はもういらない子なんだし」


いくら愚痴を言っても雨は止む事はない。私もあの女性のように癇癪を起こせればいいのだが、この冷たい雨がその熱を冷ますように降り続けている、彼女は身寄りのない子となったのだ。


⭐︎⭐︎⭐︎

「それで?ずっーと雨の中、傘もレインコートも着ないでベンチに座っていたんだ」


「はい・・・」


街頭しか明かりがない夜の公園で私に1本の傘をさした彼女。不思議そうで心配そうな表情をしていた、きっと『女の子がこんな夜中に何しているんだよ!!』なんて言いたげな表情だったと思う。


『ねぇ・・・帰るところないの?』


『・・・・・・・・』


『それじゃあ、少しの間だけうちに来なよ。貴方がこんなところで風邪をひくのはお姉さん見たくないだ』


そう言われて気づいたら手を引かれて歩き出していた。冷え切った手がその温かい手のおかげで手が巡ってくるの感じる。あの家とは違い、嫌な気がしない暖かさだった。


☆☆☆


「ところでさ、君って名前なんていうの?歳は・・・高校生くらいかな?」


彼女に手を引かれてやってきたのは、3階建ての賃貸であった。部屋の大きさからみて1DKほどだろうか、前にいた家よりかは小さいが私としてはこちらの方が圧倒的に居心地の良さを感じる。

そんなことを感じている暇もなく洗面所に連れていかれてお風呂につかるように言われ、熱いシャワーを浴び湯船につかって体の冷えを温めていった。自分がどれだけ体温を落としていたのか、実感できるほどに浴槽の湯舟は熱かった


「すみません、お風呂ありがとうございます。それに着替えまで・・・」


「ん~、いいってことよ!それじゃあ私も浴びてくるとするか!あ、テーブルにココア出しといたから気にせず飲んでね。あと、着ていた服なんだけど私のやつと一緒に洗濯しちゃったから~」


そういって彼女もお風呂に向かっていった。先程、私がいた脱衣所からは彼女の鼻歌が聞こえてくる。


(まぁ、少しだけゆっくりさせてもらおうかな・・・それにしても綺麗な人だな)


自分とは違ったトリートメントされたショートヘア。街頭しかない外ではあまり良くわからなかったが、明るめな茶髪をしている。性格とマッチしているようで自然と笑えてくる。


「今日初めて笑ったかもな……」


朝から憂鬱で学校が終わっても帰りたくなかった。

そんな私であったが、まさかこんな形で幸せが寄ってくるとは思ってもいなかったので自然な笑顔も今が最初になる。


「ココア、美味しい…」


あの人が上がってきたらちゃんとお礼を言おう。

そして自己紹介をしよう…


熱いシャワーが冷え切ったナニカを溶かし切っていた。それが最初の物語

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