You'll be okay

えいみ

第1話

体育祭。


毎年行われる行事。うちの学校はというと、ほぼ勉強しかしない為、行事という行事はこれくらい。なので、気合いが入っている。


「では、体育祭の委員になりたい方は挙手をお願いします」


誰もいない。


「体育祭は体育委員の管轄なので、早川はやかわくんは自動的に委員になります」


「え!お、おい!」


学級委員長、細川秋人ほそかわあきとにより決定された。


「他に誰もいないので、仕方ないです。僕がやります」


「私も!」

「私もー!」


細川が立候補した途端、人気に。


「あ、僕としたことが活動内容を説明していませんでしたね」


中高で行われるこの体育祭。今年、高校に進学したので、高校生がメインになって活動する委員は、いったい何をするかは俺も知らない。


「プログラムの進行、企画立案、設営など…先生方は関わらないので、すべて自分達で行わなければなりません」


「え、大変そう…」

「私には無理かも…」


女子は手を下げた。


「それでは、決まらないので…後は早川くんに決めてもらいます。誰がいいですか?」


「え…」


「決められないようなので、僕が推薦します」


細川が結局勝手に決めた。全員男子。その後は普通に授業が進行された。

たいてい昼休みも放課後も、細川は女子といるから話す暇はない。しかし、今日はさっさと帰ろうとするので捕まえた。


「お前、どういう基準で体育祭委員決めたんだよ」


「それは、体力面とか協調性とか…ま、いろいろね?」


「そーいや、委員長は誰がすんの?」


「僕がするよ。だって、委員を推薦したの僕だしね?もちろん副委員長は早川はやかわね」


しれっとしてる。この策略家め!


「早川は女の子としたかった?」


「いや…それは…」


「僕が一緒に活動したいと思えるような子はいなかったから、男ばっかりにしちゃったよ」


「そーですか。はいはい」


翌日の放課後。

体育祭の委員は、高校の全学年合同で会議を行う。これは、なかなかの面倒ごとだ。塾間に合うか…。


「実行委員の皆さん。体育祭は大変な行事なので、毎年卒業生にも手伝ってもらっています」


へぇ、だから先生以外の大人がいるのか。


「それでは、体育祭のプログラムについてですが、今年も同じということで…」


話し合い。こういうときに目立つのは、細川だ。


「すみません。よろしいでしょうか?」


やはり挙手をする細川。


「体育祭の趣旨というのは、学校の校風、更に進学校というのをアピールする場だと思います。私は、毎年のプログラムが同じというのは、なんの工夫もないように思えます。皆さんはいかがでしょう?」


真面目くさってる。先輩に喧嘩売ってんのか?…と思ったが、逆に様々な意見が出た気がする。さらに、話し合い後には先輩から話しかけられる始末。


「細川くん、噂に聞いていたけどすごい」


「ありがとうございます」


なんてやつだ。さっそく人気者か。


「あの、もしよかったら、お話少しできますか?」


「はい、構いませんよ」


3年生にも人気出してどうするんだよ細川。


「俺は帰る」


「早川、塾に間に合いそうでよかったね」


なんだよそれ!俺のこと心配してんのか?

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