什陸:ABCで、ねぇ民具

家族の名前はALPHABETで表記

ATEJIの両親は中等部の教師だったが

祖父はNONFICTION WRITERだ。今でも書き続けている。

その中にATEJIも登場するが

他の兄妹は皆、英単語で表記出来る仕様になっている。

長女は走 =RUN  次女は愛 =LOVE

長兄は鳥籠=CAGE 次兄は深紅=RED


長女のRUN は最高のSPRINTER

次女のLOVEは看護学生として勉強中。

長兄のCAGEが大学院に進学して博士号を取得

次兄のRED が高校でBASKETBALL部のREGULARに選出。


末っ子のATEJIは誰にも対句して貰えず、独自の人生を歩むことに。

隅田宛児と呼ばれて、華やかな家族から何となく爪弾きに遭い

リモート塾で慎ましやかに生活出来る程の身銭は稼いで来たが

斎藤ルビと出逢い、少しだけ、否、今人生が大きく好転しようとしている。


ルビさんから古都BANKについて説明があった。

日本の各地域に言語を売り買いする銀行があると言う。

今、二人は中四国エリアに居て、一番近いのは

AREA:YAMAGUCHIの維新百年記念公園だと言う。

防長バスを乗り継いで、公園に到着!

整地されたグラウンドと丁度対角線上に

古都BANKは店を構えていた。

「ATEJIさん、今迄の戦いで、取引になりそうな

言語素材はありそうですか?」

「そうですね……書き換え三問とか良くないですか?

ラーメンの書き換え三問 北京ダックの書き換え三問」

斎藤ルビの手柄だが、いい値になりそうな予感はしている。

透明アクリル板の向こうで電卓を叩く音が聴こえる。

「合計300,000円でいかがでしょうか?」

「さ、三十万円? た、単語六つで?」

「これが漢検ファイトの旨味でもありますが……」

「現金に替えた言語は使用禁止、ですよね?」


総額1,000,000円の言語を買おう!

「三十万円は食費やHOTEL代に回しましょう!

売却すれば使用禁止となるなら

対面したFIGHTERが繰り出した言語は

古都BANK的には生きていると言う証になります」

「難読難書を幾つも仕留めて、金銭を粗方稼ぎ

強い言語を買って行けば、勝率はうなぎ昇りですね!」

「先程の銀行で閲覧した中での最高額は百万円でした」

「ええと0が六つで1,000,000円かあ」

「ではでは、早速、BATTLEを仕掛けて行きましょう!」

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