第210話 オバさん二人


 それと共に、カイザル様は私の事を異性と思っていない節がある。


 それはそれで寂しくはあるのだが、他の男性たちは私の身体を舐めるように見てくるので正直言って不快であった。


 私もバカではないので、それが実果実を収穫する日を逆算するかの如く、私の身体が成熟するのを観察していたのであろう。


 それでも、それは本能からくる欲求であり多少は仕方がないと思っていたのだが、まさか本当にそういう目的で見ていたとは思いもよらなかった。


 もしカイザル様と出会わなければ、私は一生男性に怯えて暮らす事になったであろう。


 いや、そもそもあの時助けてくれる者が現れなかった可能性のほうが高い事を考えると今でもゾッとする。


 その為私はカイザル様には返しきれない恩を感じているのだが、それ故に学園にいる学生たちがカイザル様へと向ける視線や態度が、ハッキリ言って気に食わない。


「カイザル様っ!! 私と子供を作りましょうっ!! さぁっ!!」

「何を言っているのかしら? このエルフは。見た目こそ若いのかも知れないけれどもアンタ、確か百歳をとうに超えているクソババァじゃないの。カイザル様も言っておやりなさいな。こんな腐りかけているババァには興味がないと。あ、因みに私はカイザル様の子供を作る覚悟はとうに出来ているわよ」

「あ? 人間基準の物差しで測ってんじゃねぇぞ? エルフ基準ではまだ私はぴちぴちよっ!! むしろ人間基準で考えるとカイザル様の年齢から見てアンタがババァじゃないのよっ!! それを考えれば長くても後十五年も経てば皺やたるみでよぼよぼにあるアンタよりも、まだまだ百年以上はこの美貌を保っていられる私の方が良いとカイザル様も思うわよねっ!!」

「あ? やんのか? クソババァっ!?」


 そして、学生たちはまだ『気に食わない』程度なのだが、私とカイザル様との二人っきりの昼食を邪魔してくるオバさん二人【帝国の魔女】と聖王国まで噂が流れてきているエルフのシシル・シシルカと【帝国の闇夜】と、これまた聖王国まで噂が流れてきているシャルロット・ホーエンハイムに関しては軽い殺意を覚え始めている。


「オバさんたちっ!! いい加減にしてくださいっ!! カイザル様が困っているじゃないですかっ!!」


 流石の私も我慢の限界がきて、尚もカイザル様を挟んで無駄な言い争いをしている二人に注意をする。


 というか、教師であるシシルはまだ良いとしてシャルロットに関しては学園にとって部外者である為この学園内にいて大丈夫なのかと疑問に思う。



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※宣伝


 カクヨムコンテスト9にて【転生したら悪役領主として主要キャラ達から殺されるキャラクターだった為、主人公達とは関わりたくないので領地を立て直してスローライフを極め領地に籠りたい。】という作品を執筆しております(タイトルは変更する可能性あり)


『あらすじ

 ゲームの噛ませ犬である悪役キャラに転生した主人公は、死亡フラグだらけの主要キャラたちといれば死亡フラグを回収されかねないと怯えていた。


 そんな時ゲームのストーリー通り両親が死亡し、そのまま家督を引き継ぐことになったので領地を立て直し、主要キャラたちからフェードアウトしつつスローライフを目指す事にする。』


 タイトルの通り悪役領主が領地経営などで死亡フラグから逃げ、スローライフを目指す作品となります。


※カクヨムコンテスト中は一日二話更新予定


 気になった方は是非読んでいただけると嬉しく思います(*'▽')ノ

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