第9話 意味が分からない
そして今この場所が水浸しになった原因はまるで俺のせいであると言わんばかりに言ってくるリリアナ。
流石にその態度には腹が立つため少しばかりやり返してやろうかと思うものの、ここでやり返してしまったら明日のメインディッシュの楽しみが半減してしまうのでここはグッと堪える事にする。
やはりこういうものは相手が勘違いしたままぶん殴るからこそ気持ちがいいのであって、その為ならば我慢の一つや二つくらいどうって事でもない。
今まで我慢してきた分、明日は俺にとって最高の、そして弟にとって最悪の一日にしなければならないのだ。
「何かしら、その目は?」
「まぁまぁいいじゃないかリリアナ。 どうせこいつは明日で終わるんだから今日くらいはそのくらいで許してやろうぜ?」
「流石ダグラス様ねっ!! こんな使えないクズにも優しいだなんてっ!! それに引き換えこんな優しくて素晴らしいダグラス様と血が繋がっている実の兄であるというのになんでこんな使えないクズが産まれて来るだなんて……信じられないわね。 使えないクズはクズらしく少しは弟であるダグラス様を見習ってはどうかしら?」
「ハンッ、どうせこいつには無理だろうから放っておこうぜ。 こいつに関わっている時間が勿体無い。 せっかくリリアナと一緒に昼食を食べる時間をわざわざこいつに割く必要もないだろう?」
「それもそうね。 あ、貴方のせいでここが水浸しになってしまったんだから貴方がここをどうにかしなさいよ? じゃっ」
そしてダグラスとリリアナは言いたいことだけを言って俺の前から消えていった。
全く、クズはどっちだよ。
「面倒くせぇ……」
そして俺は風魔術と炎魔術を詠唱して熱風を生み出すと
◆
「なぁ、食堂の床を水浸しにしたまま何もしなかったのはどうしてだ?」
そしてあの後何事もなく昼食を食べ終えた俺はそのまま教室に戻ろうとしたのだが、その途中でエルフの教師に捕まってしまう。
そしてそのまま使われていない校舎の端にある教室へと連れていかれると開口一番そんな事を俺に聞いて来るではないか。
なんで被害者である俺がこんな事を言われるのか意味が分からない。
「いや、だって食堂の床を水浸しにしたのはリリアナでしょう? なんでリリアナが行使した水魔術で水浸しになった床を俺が拭かなければならないんですか? しかも俺は何もしていないにも関わらず勝手にあいつらの方から突っかかって来たのであり、俺は被害者だと思うんですが?」
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