今まで使えないクズだと家族や婚約者にも虐げられてきた俺が、実は丹精込めて育てたゲームのキャラクターとして転生していた事に気付いたのでこれからは歯向かう奴はぶん殴って生きる事にしました
Crosis@デレバレ三巻発売中
第一章 家族編
第1話 今まで何も誇れるものは無い
俺、カイザル・フォン・クヴィストには誇れるものが何もない。
あるとすれば俺の親が公爵家というくらいで、それ以外は全て平均よりも少し低い程度である。
魔術も武術も勉強も何をしても中途半端。
しかもそれは世間一般的に見て平均よりも少し低いというレベルである為、俺が通っている帝国立魔術学院の中で見ると特に魔術においては下の下。
それも俺よりも下は基本的には数少ない平民のみという状況であり、言い換えれば俺よりも成績の悪い貴族は誰もいないという事でもある。
「あら? なんで貴族の皮を被った薄汚い野良犬が魔術学院貴族科の廊下を歩いているのかしら?」
「い、いや……その……で、でも……俺も一応貴族──」
「黙りなさい。 まさか、貴方みたいな使えないゴミが貴族を語ろうなどという訳ではないでしょうね?」
「……ご、ごめんなさい」
そしてただ廊下を歩いていただけの俺に黒曜石のような美しい黒髪をなびかせた絶世の美少女であり、この魔術学園の生徒会長でもあるリリアナ・ドゥ・ゴールドが話しかけてくるのだが、その内容はいつも通りの罵詈雑言である。
ここで変に不満を述べたりすると何をされるか分かったもんじゃないのでここは素直に謝罪をする。
いつからだろう。 謝罪をする事に何も感じなくなったのは。
「あら? 聞こえなかったのかしら? 廊下に這いつくばって額を廊下に擦り付けながら『自分のようなものが貴族様のお情けで廊下を使わせていただきありがとうございます』と言いなさいと言っているのよ? そんな単純な事も出来ないから貴方はいつまでたっても使えないクズなのよ。 しかしながら私は貴方と違って優しいから思考がクリアになるように頭を冷やさせてあげる。 水魔術段位一【水球】」
「ぐふぅっ」
そんな俺の態度が気に入らなかったのかリリアナは俺へ水魔術である【水球】を行使するとその水球を放ち、俺の腹へと打ち付けるではないか。
いくら【水球】が水の魔術段位一だったとしても魔術の行使に長けており、学園内のトーナメント戦では二年連続一位であるリリアナが放つ【水球】ともなれば、碌に魔術を防ぐ術がない俺からすればもろに喰らえば普通に悶絶してしまう位に痛い。
「まったく、ホント使えないクズね。 貴方のせいで廊下が水浸しになってしまったじゃない。 後で廊下の水は拭いておきなさいよ?」
そしてリリアナは心底見下した表情でそう言うと、どこかへと歩き去ってしまう。
「昔はあんなんじゃなかったんだけどな……」
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