第45話 夜ごはん、お開き
お母さんが買い物から帰ってきて夜ごはんを作る。
藍「手伝う?」
お母さん「遊んでなよ」
藍「いや、さくらが」
さくら「押しつけに来ましたね」
藍「料理できるんでしょ?」
さくら「まあ…」
ヒデ「俺も手伝うか?」
藍「座って奏とゲームしてろ」
ヒデ「ひでえ…」
奏「もう一回!もう一回!」
奏が結構悔しそうにしてる。
藍「ほら、行ってあげて…このままだと俺が練習相手としてぶちのめされるから…」
ヒデ「は~い」
お母さん「ねえ藍!」
藍「今度は何?」
お母さん「この子めっちゃ料理上手!早くて綺麗に使うし…味付けも美味しい~」
さくら「ありがとうございます」
藍「流石」
お母さん「いや…本当に完璧じゃん。え?私と結婚しない?」
何を言い出してるんだうちの母は。
???「まさか帰宅直後の目の前で嫁の浮気を見るとは思ってなかったな」
藍「あっお父さん」
奏「おかえり~」
お父さん「ただいま。そして…初めまして」
さくら「初めまして、藍君のクラスメイトの秋野さくらです」
ヒデ「王雅 英明です」
さくらがペコリと頭を下げる。ヒデは奏とゲームをしながら挨拶。
お父さん「話は聞いてるよ。ゆっくりしていってください」
さくら「ありがとうございます」
ヒデ「あざっす!」
奏「また負けた~!!!」
ヒデが勝ったのか。これはもう俺が後で奏にぼこされるルート確定だな。
お母さん「はいはい、ゲームもそこら辺にしてご飯にしましょう~」
藍「奏~手伝え~」
奏「はいはい」
さくら「アッ奏ちゃん、それは熱いのでヒデ君に持たせてください」
ヒデ「なんだ?机に置けばいいのか?」
さくら「はい」
藍「気合入れたね」
お母さん「いつもこんなでしょ」
藍「うそこけ」
明らかに気合が入っている。夏なのにグラタンって…。唐揚げとかの揚げ物もあるな。さくらがいたからこそのスピードとメニューの豊富さだろうな~。
さくら「藍君、これ」
藍「なにこれ?」
さくら「揚げ物ついでに野菜も軽く揚げて甘酢炒めにしました」
お母さん「それ美味しいよホント!ほんとに」
藍「やった、楽しみ」
お父さん「ふ~」
あっお父さんが仕事用の服を着替えてきた。相変わらず部屋着はラフだな。
お父さん「おっ気合入ってるなあ」
お母さん「ちょっと!藍と同じこと言わないで!」
お父さん「いや…これに関してはこっちが正しいだろ」
奏「椅子持ってこないとじゃない?」
藍「ヒデが空気座りだから大丈夫だろ」
ヒデ「え?」
さくら「そうですね」
お父さん「いや、そうはいかないだろ」
お母さん「一応お客様…」
藍「お客様が料理してんぞ」
さくら「まあまあ、私が勝手にやったことですし」
奏「いいから食べようよ~冷めちゃう~」
お父さん「そうだな」
「「「「「「いただきま~す」」」」」」
奏「美味しい!!」
さくら「ですね、よかったよかった」
藍「ハフハフ、グラタン熱、うま」
ヒデ「唐揚げ~」
お父さん「ほい、届く?」
ヒデ「ありがとうございます!」
家でこんなにわちゃわちゃした食事をするのはかなりレアだ。普段は奏が一番喋るのだが…今は一心不乱に食べている。さくらの作った甘酢漬けにドはまりしたらしい。
お母さん「美味しいわ~。さくらちゃん、いつでも遊びに来てね」
さくら「ありがとうございます」
ヒデ「おれは?」
奏「私のゲーム相手としていつでも来て欲しい」
藍「その分俺がフリーになるなら来てもらいたい」
ヒデ「おう、任せろ?」
さくら「あまり威張れることじゃないですね」
お父さん「お母さん…」
お母さん「いや、楽しそうだったから良いかなと…」
さくら「大丈夫ですよ、私たちもヒデ君に対してはこんな感じです」
ヒデ「なにも大丈夫ではないが?」
藍「空気椅子中のくせに何言ってんだ」
奏「普通に食事し始めたからびっくりしちゃった」
お母さん「そこツッコんでよかったんだ」
お父さん「そういうものなのかなって思ってた」
そんなこんなで6人もいると(ヒデがいると)結構な量あった料理も綺麗になくなった。
藍「ふう、食べた食べた。そろそろ帰るか?暗くなってきたし」
さくら「そうですねえ…」
藍「ヒデは?」
ヒデ「おう、これ終わったら帰るわ」
奏「最後だから!」
まだやってんのか。
藍「さくらは家まで送ってくよ」
さくら「別に大丈夫ですよ?」
藍「夜だから、念のためだ」
お母さん「さくらちゃんは可愛いから1人はダメだよ~。藍もしっかり守りなさいよ」
藍「喧嘩したら俺が負けるけどな」
さくら「…ありがとうございます」
お父さん「ヒデ君の方は?」
藍「あれは最強生物だから大丈夫だ」
お父さん「…そうか」
そんなこんなでお開きにすることになった。
さくら「お邪魔しました。ごちそうさまでした」
ヒデ「お邪魔しました~。またな」
奏「むう…」
ヒデが勝ったっぽいな。
藍「じゃあ行ってくる」
両親「「また来てね~」」
外に出ると…
藍「おお、夏と言っても夜は少し冷えるな~」
さくら「そうですね」
さらっと羽織るものが準備されているさくらはさすが。そして…
ヒデ「じゃ、またな二人とも」
ヒデが車より速く走っていった。
藍「じゃ~な~」
聞こえてるかな?音より速い…ことはないよな?
さくら「それじゃあ行きましょうか」
藍「うん」
俺たちはこの時ヒデについていければよかった。そうしたら…もっと早くあの事について知れたのに…
――あとがき――
意味深な終わり方…
アッ一言言うと大丈夫ですよ。
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