缶ビールを持ったシンデレラ

井上桃子

序章婚活戦記

「ハッピバースデートゥーユー、、、ハッピバースデー、、ディァ、私、、ハッピバースデー、、トゥ、、、ユー、、、」


プシュ。


いつもの発泡酒を一気に飲み干した。

去年までは、お祝いしてくれる彼がいた、でも今年はもういない。


「はぁ〜、、、」


(疲れた、今日も忙しかったな〜、ってか帰る間際に、仕事頼むんじゃねーよー、中野部長)


時刻は、午前0時5分日付回って28になったところだった。


「今年は彼氏出来るかな、、結婚もそろそろ考えないとヤバイよね〜」


一人暮らし始めて10年、独り言が日常になってきた、誰もいない部屋で独りつぶやく。


2本目を冷蔵庫から取り出し、柿ピーの入った瓶から、お皿にちょっと出す。


テーブルにおつまみとビールを置いたら、テレビのスイッチをいれる。


ルーティーン開始。いつもの用に深夜番組を見ながら、笑って、テレビにツッコミを入れている。テレビが話し相手。


痛い、、、


そう思っても生活習慣になってるから、止められず、日に日に枯れていっている。


(金曜の夜に一人、部屋で発泡酒飲みながら、何やってんだろうなぁ、、、)


五十嵐 唯奈 28歳 独身

3年付き合った彼氏は、浮気現場に遭遇し殴って別れた

そろそろプロポーズされるだろうと思った矢先の出来事だった


唯奈は、見た目に反して中身は50代のオヤジ

ビールに、乾きもの、野球中継に野次を飛ばす

でも、見た目が童顔で小さいため、ほとんどの男性は騙されていた

女の子であろうとすれば、するほど家の中ではオヤジ化していった


でも、結婚して子供を産んでと普通の幸せも願っていた


いつかきっと幸せになれると信じて

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