第16話【初収録】

ランチを終えて、テレビ局へ着いた。


ランチ中も席順やらなにやら、騒がしかったが、巧くいなして落ち着いて食事を楽しんだ。

早くも耐性が出来てきたようだ。


テレビ局へ着くと、馬淵さんが出迎えて・・・

「ちょっと!ランチ行くなら私もいっしょぬぇ・・・」

「はい、静かに。関口さん、控室にその子たちをお願いします。そのあと共演者の方々とスタッフさんに挨拶に行きますので、よろしくお願いします。」

「わかりました。」


馬淵さんがまるで連行されているようだ。

さっきも良くわからないことを口走っていたし、疲れているんだろうな。

それにしても田中さんは強いな・・・

馬淵さんを何度も制している・・・

見習わねば。


初めてのテレビ局。

多少なりとも緊張感がある。

肩と背中に感じる重みは、緊張とプレッシャーによるもの、では無い。


アスナがテレビ局へ入るなり、関口の背中に飛び乗った。

耐性がついてきている関口は気にすることなく、

「よし、みんな控室に・・・」

「どうしたのだ、関口」

「アスナよ・・教えてくれ・・・控室ってどこ?」

「やれやれ、奥のエレベーターで上の階じゃ。」

「御意。」


控室へメンバーを送る。

その間、マイが不機嫌を通り越して鬼だった。


「関口さん、お待たせしました。」

田中さんが控室にくると、プロデューサーやディレクターに挨拶周りを行う。

そして、共演者への挨拶をすませた。


化粧と着替えを終えたメンバーと共にスタジオへ向かい、いよいよ収録が始まる。


するとマイが突然、目の前にやってきた。

「今日の企画、知ってますか?」

「ん?いや、わからない。すまん。」

「んーん、良かった。楽しみにしててね。」


何やら悪い顔をして立ち去るマイ。

そして俺にとっての初収録が始まった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る