第三七話 カストルム牢獄襲撃
因みに総司令の将軍が首都イグニッツの総督を務める第二王子に向け、慎重を期して
かつては王城を護る城塞だったカストルム牢獄で拘束している亜人捕虜の内、その大半を
若しくは
(どちらにしても、首都内に存在している
薄暗い廊下を歩きながら、コルヴィス将軍は重い溜息を吐いた。
収監されている限り、彼らの魔力を収奪転用する恒常的な結界の影響で人間と変わらず、
彼らの手で虜囚が解放されてしまえば、大きなうねりの切っ掛けとなって、無視できない規模の反乱が起きる危険性もあった。
(…… レブラント様が批判を恐れて決断できない以上、日々警戒を密にするのみか)
手持ちの駒は首都駐留軍の約二千名、主戦力を三方から攻めてきた部族国の各領軍に割いているため、それだけで想定する全てに対処しなければならない。
さらに首都外壁の門など重要施設を押さえている守備隊は動かせず、遠征軍本営の職務に
「せめてもの救いは牢獄の造りが堅実なことだな」
陰湿な青銅公が亡き君主の命により、過去の要塞を改修したという施設には立派な外堀があって、市街地との接点である跳ね橋を上げれば早々には陥落しないはずだ。
いざという時は王城の本隊が馳せ参じられるように必要な手を打ち、
「今宵は “月が綺麗ですね”、クラウド卿」
「何だその取って付けた口調は? “死んでもいい” とか、縁起の悪いことは口が裂けても言わないぞ、俺は未練の多い俗物だからな」
深夜の首都外縁、北西領に所縁を持つ商会主が保有する三階建て倉庫の屋根上で
恐らくは以前に我らが姫君のエルザから聞いた
(確か……)
弟子の一人が他言語の “愛している” を翻訳した
そう言われた時の返し言葉は “私はあなたのもの” という、やはり他言語を二葉亭とやらが意訳した “死んでもいい” なのだが、
ただ、本人は思いつきで発言したに過ぎず、さらりと俺の返事を受け流して、夜闇に
「ん~、そろそろ、私達も出番ですかね♪」
見渡せる範囲の光景から、そう判断したアリエルが
「あまり聞かない話だけどさ、病気の後遺症で飛べないんだっけ?」
「あぁ、魔素を浮力に変換する臓器がやられてな……」
元々偽装しているだけの俺には種族固有の身体的能力など皆無だが、可愛らしく小首など傾げた赤毛の騎士令嬢に嘘を吐き、若干の心苦しさを誤魔化すように軽くて丈夫な外套を撫でた。
一応、運良くというべきか… 風魔法の気流操作に
斜め前方への
「むぅ、ちゃんと飛べるんじゃない、心配して損したわ」
「多少、不格好だがな」
引き起こす風の強さが調整しづらく、吸血鬼の振りをする羽目になってから猛練習すれども、生粋の飛翔能力を持つ者達より劣るのは致し方ない。
そう内心で言い訳している間にも、幾つかの防衛塔と中庭を備えた長方形型の建造物が迫り、
「
「「「うぉおおぉおぉ―――ッ!!」」」
もはや襲撃が露見したことにより、
俺も開門待ちしている
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部隊紹介 No.1
部隊名称:吸血飛兵隊
部隊指揮:アリエル・ヴィエラ
部隊副長:マーカス・ザルト
部隊人数:総勢50名(※首都にいる先遣隊は35名)
種族構成:吸血鬼族
必須技能:中級魔法
自然治癒促進(中)
短距離飛翔
馬術・剣術 ・盾術
授与称号:準騎士
最精鋭
制式武器:黒鉄の剣
黒鉄の投げナイフ
制式武装:手甲型腕盾
軽装鎧
外套
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