二通目
この文章を書く前に一つの決断をしました。タバコをまた吸い始めたのです。
だから何だと思うかもしれませんが、ひとまず聞いて下さい。
喫煙は緩慢な自殺だと言います。これは『さよならを教えて』というエロゲーに出てくる言葉でもあるのですが、私はこの言葉がとても気に入っているのです。
生きるとは死ぬまでの過程である、と言ったのは誰だったかは憶えていませんが、タバコの匂いに私は死の匂い感じます。それがとても心地よいのです。
こんな事を書くと余計な心配をかけてしまうかもしれませんが、「死にたい」と思っているわけではありません。当然、生きているのですから死にたいと思う瞬間がないわけではないのですが、言葉を変えればタナトスに惹かれているのです。
フロイトの用語で、生の本能に対する、無機物の不変性に帰ろうとする死への衝動。もっと言うのなら、何物にもならなくなる事への憧れが私にはあるのです。
死は終わりであるとよく言います。しかし、寺山修司は『生が終わって死が始まるのではない。生が終われば死もまた終わってしまうのだ。』と言いました。生と死は分かつ事のできない両面なのです。死への甘美な誘惑に浸っている時、その瞬間は確かな生を生きているのです。
のっぴきならない話で申し訳ありません。勝手に同好の士だと思いこんな話を書きました。
紫煙に満たされた部屋の中で。敬具
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます