拝啓、宮古さんへ

あきかん

一通目

 拝啓、宮古さん。肌寒さを感じる季節が日に日に近づいて来ましたね。如何がお過ごしでしょうか。

 私と宮古さんの関係は相互フォロワーです。おそれながら申し上げますとあなた様を認識した経緯は憶えておりません。

 同じ自主企画に何度かご一緒させて頂いた事がきっかけだったと認識しております。少なくとも私はそうです。いつも視界の片隅にあって、いつの頃からその名を追いかけておりました。

 繊細な筆致に心惹かれました。『我楽多島の傀儡』の序幕。


華奢きゃしゃな、けれどすらっとした、足と手と、柔らかな指。―――赤く発色をする、腰元ほどまで伸ばされた髪。―――切れ長の、長い睫毛まつげの、三白眼さんぱくがんの、万華鏡まんげきょうのような瞳ひとみ。―――浮き出た首筋くびすじの、鎖骨さこつの。………


 上記の一見するとたどたどしい文章は、これから起こる不穏な物語を暗示しており、とても好きな一節です。

 言葉一つ一つを丁寧に紡ぐ方なのだな、と。文章から作者の繊細さが滲み出ており、作者本人の人柄にも興味を懐きました。

 それから陰ながら宮古さんを追いかけているのですが、この機会に勇気を出して筆を取ったしだいです。

 拙い文章になりますが、これからもお付き合い頂けると幸いです。


 序幕にかえて。早々

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