第7話 幼馴染は健太に激おこ
※今回だけカレン視点です。
彼氏ができたと浮かれた私、美崎カレンは、最高にハッピーになるはずの一日を、幼馴染みの中村健太にむちゃくちゃにされた。
健太の奴、私に夢中だったくせに一体なんなの?
急に強気に出たと思ったら、まさか姫川さんを巻き込んでくるなんて!
でも、一体どうやったのかしら。
あの陰キャの健太が、陽キャ頂点の姫川さんと接点なんてないハズなのに。
最低最悪の三浦を教室から追い出した私は、しばらくしてからイライラしながら下足入れのある一階へひとりで向かう。
信じらんない。
私がひとりで帰るとかありえない!
最悪な一日。
これも全部、健太が悪いんだわ。
「あー! カレンじゃないの。自慢してた新彼は?」
「アレアレー? 三浦は? もうフラれたとか?」
靴に履き替えているところで声をかけられた。
ちぇっ、由紀子とメグだ。
また、うっさい奴らに見つかったなー。
中身のない話をするときは楽しいけど、普段はからんで欲しくないのよねー。
特に今とか、ホントどっか行って欲しい。
「いいでしょー、べつにー」
私は急いで靴に履き替える。
急いでるって分かるようにワザと。
「ねぇ。あんたさぁ、モテるのを証明してみせるって言ってたよね?」
「そうそう。えーと、確か、私に彼氏ができないのは幼馴染みの何とか君が近くにいるせいだ、幼馴染みを突き離せば彼氏なんかすぐだ、とか言ってたよ」
あー、ウザイわー。
私、ギャルじゃないのに、こいつらと一緒に居たら超頭悪く見えるから嫌なのよ。
「三浦が想像以上にクズだったから、すぐ切っただけだしー。それじゃーね」
「マジ!? ホントに初日から破局?」
「え、聞きたい聞きたい! 興味ある!」
「あー。ごめん、今日バイトなんだー。じゃーね!」
「嘘ばっか。ちょっと、逃げんなよー」
「寂しかったら、幼馴染みの何とか君呼べばー?」
さっさと彼女らから距離をとったけど、後ろからゲラゲラと笑う声が聞こえた。
最悪だー。もう、超最悪。
全部、健太のせいだ!
あいつ、絶対に許さないから!
ムカつくから、ちょっと脅してやれ!
歩きスマホで健太宛てに「許さないからね!」とキツメのメッセージを送った。
いつもなら、私が送ればすぐに既読がついて、秒で返信が来るのに今日は既読すらつかない。
健太のくせに舐めてるわッ!
何なの?
あいつ調子乗ってない!?
姫川さんがいるから??
だいたい、何で姫川さんが健太をかばうのよ。
なんか彼女から告白したとか言ってたけど、あれ、どう考えてもおかしいじゃない!
ふたりに接点がなさすぎるわ。
絶対裏があるはずよ。
たとえば、健太が姫川さんに頼み込んだとか。
そうよ!
健太が私のことをあることないこと酷く言って、姫川さんの同情を買ったんだわ。
それを姫川さんが信じて、健太を可哀そうに思ったから私の前で演技したとか?
うん! この推理完璧だわ。
私って天才かも!?
ってことは明日、健太に姫川さんの助けはないな。
よし、キープしてた二号の前田をその気にさせて、明日の朝だけ私と一緒に登校させよう。
私は電話の方がメッセージより確実だと判断して、前田に電話をかける。
「あ、前田君? カレンだよー。何だか前田君にすっごく会いたいなーと思ったの。ねぇ、前田君。今すぐ駅へ来て欲しいな。お願いっ!」
『マ、マジ!? 美崎ちゃんが俺を!? い、行くよ! 今すぐ行く! ちょっと待ってて!』
よし、上手くいった。
チョロッ。
前田、チョロすぎー。
これで後は付き合う感じに誤解させて、朝に駅へ来させればOKね。
私ってもしかして仕事できる系?
明日の朝、前田と登校するのを健太に見せてやる。
どうせあいつは私にベタ惚れなんだから、他の男といるのを見れば、すぐ絶望して素直になるでしょ。
私に恥かかせたこと、謝らせてやるから。
早くマウント取り直して、あいつをいいなりにさせないと気がすまない!
さてと。
少しイライラが治まったし、前田が来るまでの間、ナンパ待ちのフリでもするかー。
下心出したバカが寄って来たら、おちょくってやろーっと。
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