過去の自分が夢を見すぎて困ってます!!!

@10_13

第1話

「…なんだこれ」


 仕事に追われる生活で放置気味だったポストを約2週間ぶりに開けたら、まるで悪魔からの死の宣告通知書の様な禍々しい雰囲気の手紙が目に入ってきた。

 カラフルなチラシだらけのポストの中で唯一黒々とした、無駄に艶のあるそれは存在感というより違和感が凄い。


 自分に手紙を送ってくる友人などいない。まず友人と呼べる人間がほぼいないし、こんな趣味が悪っ…独特な奴に住所を教えるワケがない。

 自分にとって家は絶対不可侵領域。最寄りの駅すら親しくない人に教えないのに、住所を知っているという事は気の知れた人物だ。こんな趣味があるのを知らないわけが無い。そうなると…まさか、ストーカーか?


 いや、それはないな。自慢じゃないが人に好かれる容姿はしていない。不摂生な生活で刻まれた目のクマ。美容室が嫌いで伸ばしっぱなしのボサボサ髪。極めつけは、ファッションセンスの無さ。


 中学高校と制服があるのをいい事に世の中のお洒落を把握せずに生きてきた。

 そして大学時代の恋人に"一緒に歩くの恥ずかしい"と服をプレゼントされた事がある。ショックをうけた自分はそれから服を買うことがほぼ無くなり、いつ買ったのか分からない服を永遠と着ている。


 そう、傍から見れば浮浪者一歩手前。いや浮浪者に間違われていてもおかしくない。つまりストーカーなんてありえない。


 友人、知人、ストーカーでも無いとすると、残る選択肢は1つ。



「最近の宗教勧誘は手が込んでるんだな…」



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