そう《ショタ》じゃなくなった俺が大好きなお姉ちゃんのために出来る事って何だろう?
ほにょむ
第1話 お姉ちゃんに任せなさい
「
耳元で囁く。月乃の一番好きな、ちょっと幼い声で。
「ねぇ。起きてよ……ねぇ、月乃……好き……好き」
柔らかい
さすがに『
軽はずみ? そうかもね。でも、それでも良い。言わないよりは。言えないよりは。
「つき姉ちゃん、起きて。好き。学校に遅れるよ?……あぁ、もうっ」
こんなに甘い匂いをさせて、毎朝俺を試してくる。お姉ちゃんにはそんなつもりは無いのだろうけど。
「……大好き」
「……私もよ……
「ん……」
ようやく
意識の曖昧な時だって、月乃の好きに振舞えるようにしてあげたいから。
やりたい放題に口の中を蹂躙される。俺が逃げない様に頭を抱え込んで。
そんな事をしなくても逃げないのに。
月乃が満足するまでの間、ちょっと他人には聞かせたくない音が響く。エロい。
「ン……祈、おはよ。今日も綺麗ね」
「おはよう、つき姉ちゃん。褒めてもらえるのは嬉しいけれど、本当に綺麗なのはお姉ちゃんの方だから」
俺達は綺麗の押し付け合いをした後に、視線を合わせて微笑みあう。
それからはもう朝の準備だ。
月乃がベッドから出る。裸のまま隠しもしないでシャワーを浴びに行く。
その綺麗な背中を見送って、襲い掛からなかった自分を褒めてやる。
──朝は忙しいから。それに、襲うのは月乃が元気な時に。
月乃から少し疲れが見えた。春休みはする事が沢山あるのに日数が少ないから無理をしてしまうのだと思う。
だから昨夜は月乃を疲れさせない様に、ちょっと過激なご奉仕だけ。ストレスの発散になればいいなと何度か満足させてあげたら、スイッチが切れるように眠ってしまった。本当に疲れていたのだろう。
俺自身は少しばかり……正直に言えば、かなり物足りない。
けれど、隣で横になっていたら、月乃は眠っているのに抱きついて来てくれた。
──ぎゅっ。って。『離さないわよ』って言ってくれてるみたいだったな。
もっと我慢できなくなりそうだったけど、むちゃくちゃ嬉しかったから俺もそのまま寝てしまえと、ドキドキしながら目を瞑る事にした。ろくに眠れなかったのは、多幸感で気が狂いそうだったから。
さっきまで月乃が眠っていたベッドに顔を埋める。一緒に寝ているから、月乃と俺のが混ざったような残り香が鼻腔を通って肺の中に入ってくる。
──つき姉ちゃん……月乃。大好き……。
九歳年上の幼馴染みで、『オムツを換えてあげた事だってあるのよ?』ってすぐに言ってくる。もとは家族ぐるみのお付き合いがある、近所のお姉さんだったけど、今は俺と同棲している。
月乃は『同居』って言ってたけれど俺が毎回『同棲だもん』って訂正していたから、今は月乃も『同棲』って言ってくれるようになった。
結構時間をかけて訂正したんだけど、本当は俺の『同棲だもん』って言い方が可愛くて何度も聞きたかったから直さなかったって後から聞かされた。
すっごい恥ずかしくてむっちゃ照れてしまったけど、嬉しすぎてずっと抱きついてしまってて。それを引き剥がさなかった月乃の優しさにまた嬉しくなって。もっと好きになってた。
いつの間にか、こうなっていた。としか言えない関係で、正しい交際歴はわからない。
一番古い記憶でも十二歳くらいの月乃が俺の傍に居てくれているし、それ以降でも全部一緒にいる。俺もそれが自然な事だと疑わなかった。
明確にいつから付き合っているという起点がない以上、俺の年齢=交際歴で良いと思ってる。その方が俺達らしくて、なんだか面白い。
そんな感じだから、俺と月乃が体を重ねるのもごく自然な事だった。
当時は何をされているのかはよくわからなかったけれど、何の違和感も感じずに受け入れてた。
でも、俺が月乃を喜ばせているって事だけはわかったから、俺にも月乃のために出来る事があるんだって嬉しくなったことは、覚えてる。あと気持ち良かったことも。
思い出してしまうと、ダメかもしれない。月乃の匂いに体が反応してしまう。
「はぁ……すぅ……ふーぅ……すぅ……」
ベッドのシーツを握った両手が離せなくなっている。埋めている顔も。こんな事をしている場合じゃないのに。
呼吸が荒く短くなっていくのが抑えられない。
シーツを握りしめた手を離してしまったら、きっと自分で触ってしまう。
うん。我慢して。月乃としたいから。うん。夜まで。ガマンして……それに、自分の事よりも、朝食の準備の続き、しないと。シャワーから出てきた月乃に、すぐに食べてもらわないと。……あぁ、食べられたい……じゃなくて。月乃が学校に遅れてしまう。
入学式だから、早めに行くって言ってた。イクって……イってた……俺も遅れない様にしないと。新入生に示しがつかない……でも、こんなギンギンにさせてナニを示すんだって話だよな。
でもでも、このまま……おっきくしたままとかも、ダメだよな……
だから……月乃に見つかる前に……うん、すぐに、出る。きっと。
きっとすぐに終わるから。今のうちに。
「お姉ちゃんに任せなさい」
「えっ。つ、月乃。なんで、え?シャワーは?」
突然、背中から抱きしめられて、耳元で囁かれて。股間に手を潜らせてきて、握られたと思ったら、優しく撫でられる。
何もかも嬉しいのが一番なんだけど、混乱もしてしまって。
「祈が気になったから、途中で出てきたの。さっきは寝ぼけてて気がつかなかったわ。ごめんね。こんなにおっきくしてるのに、いっぱい我慢させてたね」
体も髪も濡れっぱなしで。本当に思い出して急いで出てきたって感じで。嬉しいけれど、こんなの心配になる。
「だ、だめだよ、お姉ちゃん。濡れたままだと風邪ひくし髪も痛む。俺は大丈夫だから。はやくシャワー終わらせてきて。ご飯、すぐに食べられるようにしておくから。ね?時間なくなっちゃう」
「……なによ。子供のくせに取り繕って。涙なんか浮かべてるんだから誤魔化せてないわよ」
月乃は俺の背中に居るんだから、俺の顔なんて見えるはずがないのに。
月乃の指が俺の目元を優しく拭ってくれる。
「ほら。泣いてる」
そこには俺の涙で濡れた月乃の指先があって。俺の事なんか『顔を見なくてもどうなっているかわかっているんだからね』と言いたげな声で。
「男のクセに濡れやすいとか」
「っ!もうっ!俺この体、大っ嫌い‼」
「ごめん、揶揄いすぎた」
月乃はそう言って謝ってくれてから、『こっち向いて』とベットのシーツにしがみついたままの俺の手をほどいて、自分と対面させる。
「私は大好きよ。喜怒哀楽のどの方向に心が揺れても涙が出てしまう祈のカラダ。可愛くて大好き。泣き顔も……ホントに綺麗」
月乃が目じりの涙を『ペロっ』と舐めてくれた。
気持ちよくて、俺はまた涙が出てしまって。
眼と鼻の奥あたりが熱くなって、眉間に皺が寄るのがわかる。こんな『くちゃ』ってなった泣き顔が綺麗なものか。月乃は優しいからそう言ってくれるけど。
こんな俺の顔を見つめてくれる月乃の、冴え冴えとした微笑みの方が余程綺麗だ。
『ふふ』と微笑みに色が添えられて。
妖しさなんて、こんな爽やかな朝には似つかわしくないのに。
月乃がその美貌に艶を乗せてしまう。
「だめ、だめだよ……お姉ちゃん……きっと、一回で終われない……から」
「そうね、きっとそう。でもね祈」
月乃は唇で俺の耳をなぞりながら、息か声かの境目で囁いた。
「言ったでしょ?お姉ちゃんに任せなさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます