第7話
健人は、涙目になっている王女様から何度も感謝の言葉を言われ少し困った顔をしながら俺たちのほうへと戻ってきた。
「すごい感謝されてたな、勇者様」
「その呼び方はやめてくれよ、影明。なんかすごいムズムズするから」
「照れなくてもいいのよ。勇者様」
「そうそう。胸を張れよ勇者様」
「お前らなぁ~、ここぞとばかりにからかうなよ!」
「ふふふ。じゃあ今度は私が行くわね」
「おう。行ってらー」
戻ってきた健人を、聖と二人でからかった後に聖は水晶のもとへと進んでいく。
その姿は、普通に歩いているはずなのにどこか美しさを感じさせる凛とした歩みだった。
その姿にクラスメイトはもちろん、異世界の騎士たちやフード姿の何人かも見入っていた。
そして、水晶のもとについた聖は手を置くとほかのみんなと同じように水晶の頭上に、ウィンドウが現れる。
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ジョブ 聖女
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その瞬間、アリスさん含めローブ姿の人たちが聖に向かって一斉に膝をつき祈る体勢を取った。
「おお神よ。まさか、勇者様だけでなく聖女様までも。感謝申し上げます・・・」
アリスさんが涙を流しながら鑑定神に向けて感謝の言葉をこぼす。
聖は、聖でどうすればいいのか困っているようで周りを見渡している。
「聖女様、聖女様のお名前もどうか我々に教えてくださいませ・・・」
ローブ姿の人たちと同じく涙を流しながら祈る体勢を取った王女様が聖に聞いた。
「聖です。神楽坂 聖」
「アキラ様。どうかアキラ様、聖女様のお力も我々にお貸しください」
「・・・はい。微力ながらお力添えします」
聖のその言葉に対して、王女様含め異世界の人たちは感謝の言葉を言いながら祈る体勢を改めてとった。
少しすると王女様含めみんな立ち上がり、最後に王女様が改めて感謝の言葉を聖に言った後、聖は俺たちのほうへと戻ってきた。
「すごい拝まれてたな。聖女様」
「俺の時よりすごいんじゃないか?さすが聖女様」
「健人、あなたのとる言動によってあなたの今後の人生は変わることになるわよ・・・」
「・・・・怖いこと言うなよ」
「大丈夫だ健人、ガチの目をしている」
「駄目じゃねえか!?それになんで俺だけ!?」
そんな感じで健人が自分の言動に今後気を付けることになったのは言うまでもないだろう。
そんなやり取りをした後に最後の一人である俺は、水晶の前へと歩き始める。
その途中ふと神様の石像に目を向ける。
改めてよく見ると、どこか懐かしい感じがする。
ずっと昔にも見たことがあるような・・・
そんなことを思っていると、気づけば水晶の前まで来ていた。
俺は、意識を水晶に向け手をのせた。
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ジョブ アサシン
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ウィンドウに映ったその文字を見た瞬間、微かに女の子の笑う声が聞こえた気がした。
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