ノンアルなのは気分だけだった~とりあえず酔った彼女がかわいい~
自由らいく
成人式のあとの疑似家飲みのはずだった
「ねぇ翔くん、家飲みしようよ」
成人式の帰り、買い物をしていると同棲中の彼女である彩はそんなことを言ってきた。
「知ってる?成人は18歳になっても飲酒とたばこは
「そのくらいもちろん知ってるよ~。でも、成人式の後ってやっぱりお酒ってイメージじゃん」
「まあな」
成人が二十歳から18歳に引き下げられてからもう数年経つが、周りの大人たちが言っていたせいかまだ俺らの頭の中でも成人式の後は飲み会のイメージが強い。
まあ、友達と言えるか怪しいラインの友達がカラオケに誘ってきたのは断ったが。
「だからさー、これ飲もうよ」
語尾が甘く上がる彼女が手に持っていた缶には『ノンアルな気分』と書いてある。
確かにノンアルコールなら気分だけでも味わえるかもしれない。
そんなことを考えていると彼女は俺の否応なしに買い物かごに数本のノンアルな気分を入れていった。
数時間後、映画を見ながら疑似家飲みを彼女としていると、だんだんと異変を感じてくる。
まず、隣に座っている彼女の顔がなんだか赤っぽい気がする。見ている映画はハードな恋愛映画物でも、ましてやホラーでもない。ただの映画だ。
そしてなんだかポケーっとしたような表情。意識ここにあらずといった感じ。
試しに彼女の顔の前で手を振ってみる。
「おーい。彩、起きてるー?」
「ほへ?おはよう」
かわいい。
そして彼女がノンアルな気分に口をつける。ぐびぐび喉を鳴らしてる。おっさんがビール飲んでるみたい。かわいいけど。
「ぷはー」
やっぱ精神年齢老けてない?字面だけ見るとおっさん臭いけど実際まじ可愛いで。というかマジで酒飲んでるみたい。
ノンアルな気分すごいな。気分だけでこんなに変わるんか。
そんなことを適当に思いながら彼女を観察していると目が合う。ちょっと赤らんでいてかわいい。というか気分だけでこんななるか?ふつう。
そんなことを思いながら俺の手元にあるノンアルな気分の缶をちょこっと見る。回して成分表示を探す。
”お酒(アルコール濃度10%)”
「やっぱりアルコール入ってるやないかい!!」
勢いで関西弁になってもうた。出身関西やないで。缶を投げ飛ばすのをこらえるのも頑張ったで。
どうやら気分がノンアルなだけらしい。というか10%って強い方だった気がする。
ノンアルの棚から彼女が取ってきたのでどうやら店員も気づいてないらしい。今度ご意見の奴に書いとこ。
彼女はだいぶ酔っているようだが、俺は火照ってきたくらいである。どうやらお酒に強いのだろうか。
まだ回っている俺の頭で、彼女の弱ってしまった頭をどうするか考える。もとから弱いかw。
「翔、くっんーー」
彼女をどうするか頭の中で
勢いがすごくて、倒れそうになったが後ろに手をつくことでどうにか倒れなかった。よく持った、陰キャのワイの細い腕。ヨシヨシ。
ところで、彼女が上に乗ってきたわけだが、かわいい。軽いから重みは感じない。だけどよくない予感がする。というかよくない予感がする。
「えっへっへっえー」
彼女の眼の奥がハートになっている気がする。すごくかわいい。
そんなことを文章では述べているが実際ヤバい。男性的な意味で。幸せだけど辛い。でもやっぱ幸せのほうが強いかも。
「翔ちゃん、好きーーー」
そう言って彼女が抱きついてくる。暖かくて、甘いにおいがして、かわいいし、もう最高。かわいい。満悦の笑みとはまさにこのことだろう。すごくかわいい。
「俺も好き」
そう言って彼女をギュッと抱きしめる。
幸せな気持ちでいっぱいだった。
そんなこんなでいちゃいちゃした後、彼女は俺の膝の上で寝てしまった。
『くうくう』と可愛らしい寝声を立てている。かわいい。
流石にこの体制のまま俺が寝れるわけがないので寝室に連れていく。
お姫様抱っこをして彼女を担ぐとぼんやりと意識が冷めたのかふにゃっと笑う。
それから二人でくっつきながら寝た。
翌朝、彼女は何も覚えてなかったらしい。
かわいかったので二十歳になったらまた一緒にお酒を飲みたいと思う今日この頃。
ノンアルなのは気分だけだった~とりあえず酔った彼女がかわいい~ 自由らいく @Raikdam
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