第3話 どーも、散策です

前書き


前回のあらすじ


主人公 スマホの能力知る



本文



どーも、食べ物探しに散策中のオッサンです。

日が昇っているうちにスマホの能力である鑑定を使いまくりながら散策しています。昨日はMP欠乏で意識が飛んで起きたらMPが回復+α(5増える)してたんだよね。昨日いた場所が安全ならあそこでスキル獲得のために色々試した方がいいかも。


「それにしてもこのスマホの能力はアタリだな。習得可能スキルが表示されるところとか鑑定とか、色々便利。おっ、このキノコを鑑定するかな」


カシャ


鑑定結果:毒性が強いキノコ


「あれ?この鑑定、少し詳しくなっている?時間はまだまだあるし鑑定しまくってみるか」


連写機能を使い鑑定をしまくる。周りの草も鑑定。


鑑定結果:毒性 中 キノコ 食べられない 採取可能

鑑定結果:毒性 中 草 食べられない 採取可能


「おおー、なんかより詳しくなったな。採取可能なのねこのキノコと草は。なら採取しておこう、いずれ何かの役に立つかもしれない」


カバンの中にあったビニール袋に採取した毒キノコと毒草を入れる。


「昨日の夜飛んでいたワイバーンに食わせるかな。いや、なにかしらの武器に塗って攻撃するのもありだな。それにしてもこの辺り毒草ばかりじゃねーか。これ以上歩くと帰り道分からなくなるし、一旦戻るか」



1キロぐらい歩いて毒キノコと毒草を採取して昨日いた場所に戻り、水筒の水を飲み干す。


『身体能力向上・隠密』


よし、先程の道の反対側を散策しよう。身体能力向上と隠密の効果を確認したいし...自分を鑑定。


「MPが半分もなくなっている。しまったな。身体能力向上がどのくらいのMPが消費され隠密がどのくらいなのか把握すれば良かった。まぁ、後々確認できるかな。あとは継続効果とかも確認しないと」


その場から空中にジャンプすると、


「うお、木の枝に頭が当たったし。結構身体能力上がってるな。あとは隠密だが、これはどう調べればいいのか分からないが警戒しつつ散策するか」


音を立たないよう駆け足で進んでいく。あと、右手には木の枝を握る。少しは役に立つといいが...


「スマホで見た限りではなにも居なかったが、もう少し先に進んでみるかな。その前にこの木だけ実がなっているけどなんの食いものなんだ?」


鑑定結果:アプル 甘い 食べられる


「アプル?この世界の食べ物か、周りはなにもいないな。よし、採取して食ってみるかな」


ジャンプして、木の枝から実をちぎる。魔法で水を水筒に入れ、その水でアプルを濯ぐ。


「いただきます。うん、アプルということからなんとなく予想していたけど...リンゴじゃん。まぁ、腹減ってたし食えればなんでもいいよ」


アプルを食べ終わりカバンの中にアプルを2つ入れる。


「これは今日の飯にしよう。実があるということは、なにかしらのモンスターや動物が寄ってくる可能性があるな。ここから離れよ」


身体能力向上のおかげで息が上がってないしまだ行動できる。帰り道も覚えているし、一応スマホの方位磁石を確認しつつ先に進もう。


先程と違って木の数が少なくなってきたな。だいぶ進んだけど、鑑定したものは全部草しかない。この先に村があるといいんだけど...


ガサッ


音がした方向にスマホを向けズームして確認する。あとは、隠密の能力と木の影に潜むことも忘れずに。


「なにあれ?人じゃないよな、ズームが何倍まで拡大されるか分からないけど。鑑定してみるか」


鑑定結果:子鬼ゴブリン


流石に遠いのか種族しか分からなかった。スマホで確認する限りでは3体。


どうする俺。あの子鬼ゴブリンを尾行するか?

いやいや、まだ攻撃スキルを獲得していないし...でも、子鬼ゴブリンの行く先に何かあるかも知れない。見つからないよう尾行した方がいいかも。


「今はまだスキルの身体能力向上が効いているな、何かスキルを獲得しているかも。どれ...やっぱりな。潜伏ね。ラッキー、子鬼ゴブリンたちはどこにいくのやら」


子鬼ゴブリンをスマホで確認しつつ尾行する。


あれ?外道に出たぞアイツら。森を出たのか?確かに結構進んだけど...周りをスマホと索敵の能力を使用して確認し、再度子鬼ゴブリンを観察する。


ギャァ、ギャァ、ギャァ


さすがに森の中だけあって帰り道が分からない。このまま俺も外道に出て前に進むしかないな。というかアイツらはなにをしてるんだ。あっ、10匹に増えてる。合流したのかな。


「ふぅー、身体能力向上のスキルの効果が切れた。4時間?くらいか。色々スキル使ったしMPも心もとない。さてどうするかね、今日の食い物はあるしもう少し観察でもしてるか」


アプルを食いながら観察していると、外道を通る馬車が現れた。


「イベントきたか?子鬼ゴブリンたちがあの馬車を襲う可能性が高いな。さっきたくさん拾った毒キノコを木の枝に刺して炙って子鬼ゴブリンたちに食わせるか。いや、無理か」


ギャァ、ギャァ、ギャァ


「なんで子鬼ゴブリンがこんなにいるんだっ!くそ、せっかく質の良い奴隷を手に入れたというのに!」


馬車を動かしていた男が叫んでいる。

質の良い奴隷?おいおい、この世界は奴隷とかいるのか?恐ろしいな。というか、しっかりこの世界の人間の言葉が翻訳されている。まぁ、奴隷を運んでいる男の末路はどうでも良いけどあまりグロいのとか耐性ないから...


「あァあァ、たすけてく...れ」


オゲェーッ


気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い


子鬼ゴブリンたちが群がって男を襲っている場面をスマホでしっかり見て吐いてしまった。馬も襲われている。奴隷がいる馬車は鉄格子で出来ているのか子鬼ゴブリンたちが必死に棍棒を叩いている。


「おい、マジでグロいからこれ以上見せるなよ。ちくしょう、残りのMPはどのくらいだ?残り30か...」


先程木の枝に毒キノコを刺していたものを燃やしながら子鬼ゴブリンに近づき投げる。

それに気を取られたすきに隠密と潜伏で男の死体から剣を抜き取り斬りつける。


「き、気持ち悪い。マジで気持ち...」


『身体能力向上』


頭がくらくらする、やべぇ意識飛びそう。ここでやらなきゃ俺が殺される。


「らぁっ、死んどけボケェ!どんだけキモいんだよ。俺の普通を返せ!」


転移してからずっと苛立ちめいたものがあった。それは、普通の日常。いきなり森の中で常に気を張っていたせいか、感情がここで爆発する。


何度も何度も子鬼ゴブリンに向かって一匹ずつ首を刎ねる。最後の一匹になったところで剣が棍棒で受け止められる。


「くそが、俺は生きる。絶対に死なない。オラァ、水筒でも食らっておけ」


カバンから水筒を取り出し子鬼ゴブリンに向かって投げ、顔面に当てる。その隙に少し間をあけスマホをいじりスキルを獲得する。


『乱れ切り』


剣術とかじゃねーのかよ。とか思いつつ剣を振るう。


「あっ、なんか連続切りみたいになったわ...」


最後の子鬼ゴブリンを仕留め、大きく息を吐く。


「おぇー、気持ち悪い。咄嗟にスマホでスキル獲得してMP使ったはずなのに...うん?レベルが15?MPの最大値も上がってるし」


鑑定結果:

◆名前 タダノ ケン

◆種族 人間

◆性別 男

◆年齢 31

◆Lv 1→15

◆HP 50→350

◆MP 50→205


◆スキル

生活魔法 身体能力向上 隠密 索敵 治癒ヒール 乱れ切り


「はぁ、男の死体を探るのは嫌だけどやるしかない。ほんと、気持ち悪りぃ金目のものだけで良いや。うん?これか...」


鑑定結果:マジックバック 容量 中


男の死体からもぎ取ったバックの中に金目のものがあることを確認してこの場から立ち去ろうとした時。


「あ、あの」


「あ、忘れてた。ごめん」


「い、いえ、私をここから出していただけませんか?」


「え、うーん、どうしよう。君、どう見ても人間じゃないよね」


「私は、エルフ族です。何卒ここから出してはいただけませんか?」


「耳が長い人間に似た種族。俗にいうエルフ耳。美女、やせ形、色白、金髪碧眼、長髪。メモ帳に書かれている通りだな、おい。そこの君、妙な真似するなよ。解放してやるが、俺に危害を与えるなよマジで!」


「わ、分かりました。もちろん貴方に危害を与えることは絶対にしません」


「で、どうやってこの鉄格子を外すの?」


「今お持ちのマジックバックの中にこの檻の鍵と鎖の鍵があります。それで解除出来ます」


「分かった、少し待ってて。えーと、これかな。はい、開けた。その鎖も解除するから絶対に動くなよ」


鎖も鍵で解除して、俺はひとまず森へUターンする。


「はぁ、はぁ、はぁ。マジでなんなん?えーと、クリーン。お、色んな汚れが落ちた。さすが魔法だな。匂いも...」


「あのぉー」


「うわっ!な、なに?なんか用か?君はもう自由だ。さぁ早くここから逃げるといい」


厄介ごとに決まっている。俺はひとりでこの世界で普通に暮らすんだ。もうこんなのこりごりだよ。


「いえ、まだお礼をお伝えしておりませんし。それにここから逃げる手段がありません」


「えーと、お礼?はいらない。俺が勝手にやった事だしさ。逃げる手段は、そうだな...」


「あの、助けて頂き誠にありがとうございます。逃げる手段がないというか、帰る場所が私にはもうありません」


「えっ、えーと、マジ?家出?」


「まじ?まじという言葉は分かりませんが、私の言葉は真実です。家族の者に嵌められて奴隷商人に売られたのです」


「あー、なんてこった。なぜ、俺にそれを言う?やめてくれ。冷たいかもしれないが俺もこの世界に来てからまだなにも分からないことだらけで混乱しているんだ。君の事情について考えている余裕はない。女だからって甘えるのも嫌い。男女平等主義者なんだ、俺」


自分でも何言っているのか分からないくらい混乱中。


「あ、あのこの世界に来た?っていうのはどういうことですか?」


「やっべ、口が滑った。あー、どうしよう?まだスキルの効果が切れてないし、ここはにげ...」


この場から逃げようとした瞬間、エルフの女から手首を掴まれる。


「お待ちください。私も一緒についていかせてくださいませんか?お願いします」


「えっ、いやー、ちょっと待って。お互いに落ち着こう。というか君はなんか落ち着いてない?ずるい」


「誘拐された経験もありましたし、今回の奴隷商人に連行されて死のうと考えていたぐらいなので...免疫がついたのかもしれません」


「君、笑顔でそんなこと言うんじゃねーよ。はぁ、仕方ない。もう少しここから離れた場所で話そう。俺は決して君に危害を与えないと約束する」


「分かりました。私も貴方に危害を与えないことを精霊に誓ってお約束します」


はぁー、なんでこんなことになったのやら。




後書き


次回 エルフ

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