岬の国の魔女

ろぺいち

プロローグ

 赤。瞳を、空を、人を焼く赤。

 黒。人を、村を、心を蝕む黒。

 白。心を、俺を、無に染む白。


 それまでの全ては、たった一晩で否定された。

 家族、友達、知人、好きな人、嫌いな人、無関心だった誰か。

 間違いなく、それ等は俺の育った6年間、全部を奪っていった。

 奪われた先で、存在すら知らなかった海の向こうで、俺は魔女に出会った。

 そいつはグチャグチャだった俺の前に立って、こう言ったんだ。


「ああ、良かったーー」


 嬉しそうに、悲しそうに。

 笑いながら、泣きながら。

 ーーその先はもう、覚えていない。

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