【アスカ!姫様】

午後7時。


4人が、夕日に向かって歩いています。


月着陸船搭乗予定の4人は、すでに宇宙服を着ています。

思ったよりずっと薄くて、動きやすいです。


「当然です!龍門渕化学の先端技術の結晶ですわよ!耐熱性、柔軟性抜群!NASAなんかとはモノが違います!背中に小型ユニットありますよね、それがあなたたちを無酸素環境でも1日間、生かし続けます!」


「ヘルメットも小さいね?」


「サイズは競合品の1/2、重量は1/20ですわ!しかも視認性抜群!」


」ワシが伝えておいたアドバイスが、見事に活かされてるようじゃな」


「ええドク!この宇宙服は確実に1世紀先を先取りしています!」


頼もしいです。


さて搭乗です。4人とも、淡々とロケットに近づきます。


エレベーターの扉が開き、全員乗りました。


透華、深雪、ドク、マーティー、サングラスたち、たくさんのメイドさんたちが手を振っています。

メイドさんっていたんだ?京太郎ちょっと損した気分です。


チーン!

最上階、搭乗口に着きました。


縦になってるので不慣れですが、座席に座ると落ち着きました。


周りを見回します。新幹線のグリーン車より広くて快適です。

前の2座席にサングラス2人、その後ろに京太郎とアスカの配置です。


「ウィアーインザシート。エブリシングイズレディ!レディフォーロンチ!」


サングラスが軽快に交信しています。


「さあワカ、アスカ様、いよいよです!それとアスカ様、これからは姫様とお呼びして宜しいですか?」


うん?


「いえ。私たちにとって、アスカ様は、もう姫様にしか見えません。ですから何卒」


「はい。そっちの呼び名がいいと仰るのでしたら、それでどうぞお呼びください」


アスカ、少し笑いながら返事します。


「おっしゃー!姫様ありがとうございます!」


カウントダウンが進みます。


3,2,1、発射!ズドドドドッドドドッドーーー!


とたんにGがかかってきましたが、ドクたちの宇宙服のおかげか、大したことありません。


空の色が変わっていきます。


雲を抜けると、そこは宇宙でした。


「ワカ、姫様!ヘルメット横の小さいツマミで明るさが調整できますよ!目的地は月の裏側で昨日が満月でしたからね!きっと真っ暗です!それ使うと夜中でも、昼間と同じくらい明るくなるんです。これドクさんのお知恵らしいです」


さすがドク。みんなの考えないことを考えます。


宇宙は、思ったより星が多くて驚きました。


でも、暗いところは地球で見るよりとても暗いです。見てると引き寄せられそうで恐いです。


ときどき光の球が動きます。UFO?かときょときょとしてると、


「あれは地球で死んだ人たちの魂です。月までの間で、自分に合った小さな星、というより、中ががらんどうになって、岩でできてる小さなおうちですけど、そこに入って、一生を振り返って転生するんですよ」


アスカが少し笑いながら説明してくれました。


アスカは何でも知ってるなあ。


いよいよ月に近づいてきました。


前面モニターに月面が見えています。


月面が暗くなりました。例のツマミを少し動かします。


効果抜群!昼のようにクッキリ見えます。


星も明るいので、このままでもいいかもしれいません。


「念のため、船内を暗くして、目を慣らしておきましょう」


アスカが言います。


「あ、はい姫様!御意!」


サングラスが元気に答えます。


まるで何度も月に来たことがあるように的確で、当たり前のことのようです。


さあぁー、超超巨大宇宙船の場所までいよいよ近づきます!

シュコーって感じを予想していましたが、違うようですね。

アスカ!姫様。

そのうち放送予定!お楽しみにーーー


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