誤発射

ぴんくのーと

第1話 誤発射

初めは何が起きたのか分からなかった。

バンッという音が聞こえたと思ったら、俺の胸ぐらを掴んでいた奴が倒れた。

今がチャンスだと思い俺はその場からすぐ立ち去った。

虐められていた俺には隙があったら逃げるという選択肢しかなかった。



俺の両親は3か月前に事故で死んだ。

残された俺と妹の夏海なつみはおばあちゃんの家で暮らしている。

おばあちゃんの住んでいる所は家から徒歩15分の距離にある場所で、転校することなく過ごせている。

いつも通りに接してくれれば良かったのに先生達は俺を気遣ってくる。

そして両親が死んでから1か月後に虐めが始まった。

理由は先生達から同情されて俺の成績を甘くしているという噂が流れたからだ。

実際の所、誰も真実を聞き出そうとした人は居なかったし、ただ成績の悪さを誰かのせいにしたいだけなんだと思った。

最初は教科書を隠されたり、筆箱の中身を空にされたりと子供がやるようなイタズラをしかけてきた。

教科書、筆記用具を先生が貸したということでイタズラは失敗に終わった。

ここからあいつの怒りをかったらしく暴力を振られるようになった訳だ。


だから俺は暴力から逃げきれた次の日、あいつが意識不明の重体で倒れたのをニュースで見て震えが止まらなかった。

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