○○の件についてご説明します。

希音命

第1話 大嫌い、大好き






「××、自由にしていいんだよ。」


 その細い腕で手を握ってくれたあなたも。


「××……あんたなんて産まなきゃ良かった。」


 幸せというものをチラつかせておきながら、一気に俺を突き落としたあなたも。


「××のせいで、全部狂ったんだよ!」


 そう言いながら拳を振り上げたあなたも。


「私のために嫌われて? ××ちゃん♡」


 俺の全部を奪って壊したあなたも。


「なににも囚われないでね、自由にしていいんだよ。××。」


 泣きながら抱きしめてくれたあなたも。


「これ、××一人でやった!? すげーじゃん!」


 わしゃわしゃと頭を撫で回してくれたあなたも。


「ありがと、××。」


 ふんわりとほほえんでくれたあなたも。


「××!」


 眩しいくらいの笑顔のこの人も。


「××ってさ、すごいよね。」


 認めたくはないけど、しぶしぶかのようにふっと笑ったこの人も。




 みんなみんな、だいっきらい。


 でも、みんなだいすき。


 はなれてっちゃ、いや。


 てがとどかないとこにいっちゃうの、いや。


 こんなぜいたくなわがままなんて、いっちゃっていいの?



「ずっと一緒にいてって、ゆってもいいの……?」



「たすけてって、ゆっていいの……?」



 そうやって助けを求めた時、あなたたちは、俺も私も助けてくれますか?



 “本当の愛”というものに触れようと手を伸ばす、少年たちの物語━━。

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