魔法騎士になったイブ~王国最強への道!?~
ヴィズ
プロローグ 小麦の町
小麦の町
ここは、宇宙のどこかにあるベオン星と言う大きな惑星です。
ベオン星と言う名前は、神話によると…この惑星をあらゆる災いから、幾度となく守って来た、格の高い精霊達が大昔に、そう名付けたとされています。
この惑星には、ありとあらゆる環境の大陸が存在し、そこには人類を始めとする多種多様の生命体が息衝いています。その時に、過酷ともいえる環境の中には、魔法を使う獣 “魔獣” と呼ばれる獣が、数多存在し、人類は古来からその脅威に晒されていました。人類はその凶悪な魔獣達から人類を守る為、人類もまた魔法を使い対抗し、その存亡を懸けた闘いを幾度となく、繰り広げてきました。
そして、今日もまた新たなる魔獣との闘いが、この大国の小さな町でも、繰り広げられていた。
『魔法騎士になったイブ』
「…」
「…」
「…」
(んっ…?)
ここは、どこでしょうか…?
私は、白くて眩しい光の中にいた。
そして、その光の先から声が聞こえる。
「…」
「…」
「…」
どうやら、私の事を呼んでいるのでしょうか。
私は、耳を澄ませて…その声を聞いていた。
この声の主は―
「…ブ」
「イ…」
「イブ…」
「「ちょっと、イブ!!」」
「「いい加減に起きなさーい!!」」
「うぉ!!」
「とっとっと…ギャっ!!」
「「ドシイイイイイイ―ンっ!!」」
「痛ててて…」
私は、驚いて起きた拍子に寝ていたベッドから、ずり落ちていた。元々、寝相が悪くベッドの端っこの方で寝ていた事が、原因かも知れないけど。
「ちょっとイブ、何やっているのよ」
「早くしないと間に合わないわよ」
そう言って、私がベッドから落ちたのを見ても心配する素振り何もなく、むしろ “何やっているの…この人” と呆れた表情で、私の事を見ている一人の女性がいました。
部屋の窓からは、白くて眩しい朝陽が燦々と私の寝ていたベッドに降り注がれていた。
「ハァ…もう朝か」
「おはよう、ルイア」
私はゆっくりとその場から立ち上がると、部屋の窓の方に向かい、勢い良く窓を開けるのであった。
「「バアアアアアアアアア―ン!!」」
-ここは、パーシャという町である。
ちょうど大陸の丘陵地帯にあり、見渡せばどこまでも広がる大草原の中にある町です。この町は、そんな丘陵地の小高い丘の傾斜に立地しており、丘の上の方にある騎士団宿舎2階の私達の部屋からは、町の景色を一望出来るのです。
因みに、この町の特産物は小麦です。町の周辺には、多くの小麦畑があります。ここの小麦で焼いたパンはとても美味であり、この国では知らない人は、いないくらいパンが旨い町として有名なのです。
そして町には、いつも焼きたての美味しいパンの匂いが漂っています。
今日もまた…
窓を開ければ、草原を駆け抜けてきたであろう、ほんのりと冷たい風と一緒に、そんな香り良い、ほのかなパンの匂いが運ばれてきます。
「ヒュウウウウウウウウウウウウウウウ―!!」
暑くもなく、寒くもなく、とても爽やかな朝です。
私は風を受けながら、大きく伸びをしていました。
「ん~、今日も良い天気ね」
「快晴ね…」
「…」(私)
何か後ろから嫌な視線を感じる。
「イブ…貴方、本当に間に合わないわよ」
「早く支度をしなさい」
「はーい」(すいません…)
私は、ルイアの視線と表情にヤバいと感じながら、早々と騎士の支度を整えるのであった。
◯
支度を終えた私は、ルイアと一緒に部屋を出て、朝食を食べる為に食堂に向かっていた。私は今朝…見た夢の事を思い出していました。そして、私は廊下を歩きながらルイアに言った。
「そうそう、ルイア…」
「夢の中で、貴方の声が聞こえたわ!!」
「何か、不思議な感覚だったわね…」
「はぁ…?」
「それって、私が必死で起こしていた声が聞こえただけじゃないの?」
「あ~、なるほど!!」
「イブ…貴方、全然起きないから」
「起こす、こっちの身にもなってよね!!」
ルイアは、ため息を吐きながら言う。
「すいません…」
「…」(私)
ん~、それでも…
今日見た夢は、変な夢だったわね。
それに、まだ頭がボーとしているわ。
(ボー…)
まぁ…今日も色々と任務があるし、夢の事は忘れて日常に戻りましょう。
―私の名前は、イブです。
年齢は20才で性別は女性であり、この王国のパーシャの町の騎士団に所属する入団2年目の騎士です。身長は155㎝…まぁ、実際は155㎝に届いてないんですが(本当は152~153㎝くらい)、少し鯖を読んで皆には、そう伝えています。体格は華奢な身体つきをしており、その身長と相まってか、しばしば子供と間違われる事もあり、困っています。
しかし、その容姿とは裏腹にその実力は折り紙つきであり、あの10人に1人しか受からないとされる難関の騎士団(皆の憧れの職業)の試験に一発で受かるなど、今をときめく才能溢れるナイスガールなのです!!
そして、私は “魔獣使役の魔法” の使い手であり、ここの騎士団では魔獣調教師としての役割を担っています。騎士には、それぞれの魔法の特性を活かした役割というものがあるのです。魔獣調教師とは、魔獣使役の魔法を使用して色々な親和獣(害獣では無い、心穏やかな魔獣)を手懐けて、敵と闘う事が出来るのです!!
「…」(私)
まぁ、私はまだ半人前でそんな大層な事は出来ないけどね。でも、いつかは…あらゆる魔獣を手懐けて、共に闘いながらこの国を守っていく事が、私の思い描いた騎士としての姿であった。そう、いつか必ずね!!
「…」(ルイア)
「イブ…どうしたの、急に自己紹介なんかして?」
「今日の貴方、なんか変よ…」
「ごめん、ごめん!!」
「なんか寝ぼけていたみたいだから目を覚ます為に、ちょっと自己紹介してみた」
呆れていた表情から本気で心配そうな顔になり、私を見ている女性が一人いました。
―彼女の名前は、ルイアです。
銀色のキラキラした髪を後ろで結び、黒色のカチューシャをしている女性であり、私の幼なじみです。まぁ…幼なじみといっても、彼女とはある境遇の下で、幼い頃から同じ場所に暮らしており、血は繋がっていないけど、本当の姉妹の様な存在なのです。
それは…
ルイアにとっても同じであり、互いにとって只一人のかけがえのない家族なのです。
彼女もまた、私と同じで難関の騎士試験に一発で受かった、若く才能溢れるクールガールなのです。彼女は “火の魔法” の使い手であり、ここの騎士団では砲撃手としての役割を担っています。
(因みですが…)
どちらが姉か妹かというと、同い年なので明確な線引きは無く、そのポジションはコロコロと変わるのです。どちらかというと、しっかり者のルイアの方が姉である事が多いですね。部屋も2人で同室なのですが、いつも寝坊しそうになる私を起こしてくれる目覚まし役でもあるのです。
これはルイアがしっかり者である、ほんの一例であり、マイペースな私をいつも面倒を見てくれているのです。
なんか、いつも有難うね!!
…と、これは私の心の中で呟くのでした。
私は眠気を覚ましながら歩いていると、その内に食堂に着いていた。
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