③ラストソード
鋼 電慈
第1話
●参考作品
「豚のレバーは加熱しろ」
●世界観
人類のテクノロジーが発展した後、人類が絶滅し労役の為に機械で生産されていた合成人間が繁栄した世界が舞台。人間が構築したテクノロジーは破壊されているが、一部が遺物として残っており作中世界を支配する国家の王族のみが占有している。合成人間達は人よりやや強靭で賢いが寿命が三十年ほどと短く、外見も考え方もほとんど人間と一緒だが、死生に対する観念が異なるなど差異もある。テクノロジーが失われ、また国家が消滅する程の大戦争を数回経ており、文明レベルは中世程度まで退化している。人間の残した遺物は高価で取引がされているものの、人間の遺伝子が無ければ作動しない仕組みで、合成人間達には一切、操作できない。王族は過去、人間で占められていたが、数百年たって受胎能力が芳しく低下、出生できなくなったため、現在では長寿命化処理を施した人間のクローンとなっており、数人しか存在しない。作中世界では、七人の魔王と呼ばれる存在が地方で災いをなしている。彼らは、数百年前、王族達によって作り出されたクローン人間で、マイクロマシンによって強化され、当時、行われていた巨大な戦争で活躍していた兵士だった。百人近くが生み出され、同一人格のコピー体で構成され、強固な団結の元に戦っていたが、逆に強固な団結故に仲間の戦死によって心が削られて行き、加えて過酷な国家殲滅戦争の最前線に立ち続けたがゆえに、戦争終結時には王族に仇なす考えを持つに至った。破壊行為を始めた彼らに対し、王族は民衆からの反発を避ける為に、伝説として勇者と魔王の話を流布し、更には定期的に人間のクローンを生み出して勇者として仕立てて送り出していた。人間のクローンは、肉体を培養し、保存装置に記憶された人格を注入して製造されるが、破壊されていない記憶保存装置は一台で、その中に破損せずに存在している人格は一人だけで、そのコピーが繰り返し勇者として生産され続けている。人格の複製は過去において行われた治験で16歳から1年ごとに、戦争でそれが中断される80歳近くまで行われた。勇者として生まれてくるクローンは、機器の不具合から各年齢がランダムに抽出される。
●主要キャラ
主人公(門倉良一/ディア・ソルフォージュ(ディア十七世))
現代世界から転生した男。ドロップアウトしかけのオタクの大学生。主体性がない。人間世界では、チェックのシャツに寄れたジーンズ、転生後の世界では、当初、チュニックにズボン(中世の庶民風)、その後、プレートアーマーに身を包み、防寒のマントを羽織る。実際のところ、王族が発掘したテクノロジーの中にあった、精神構造のコピー体。とある研究で精神構造をコピーされ保管されていた。女王が人間のクローンを作製し、コピー体を注入、覚醒させた。人間の遺伝子を持つことから、異世界のテクノロジーにアクセスできる唯一の存在で、マイクロマシンを注入され、認知加速と肉体強化能力を得る。
メテオと呼ばれる星からの加護を受けている。実際のメテオは、巨大な人工衛星(自律型中型宙域帆船)で超指向性電磁波電力送信システムにより、マイクロマシンに莫大なエネルギーを送り込み、戦闘能力を引き上げる役割を持っている。人類が存在していた時代には十数基が打ち上げられ、全地域で電力供給を受けられたが、現在では数機のみが稼働しているだけで、時間帯により電源供給を受けられない事もある。クローン体は、年齢は違えど同一個体を多数作り出したことで魔王となってしまったことから、同一個体を、同時に生み出すことは禁避とされている。
ヒロイン(ミーシャ)
戦闘支援型バトルドロイド。ショートカットの少女。超が付くほど優しい性格で、主人公を甘やかす。本人は天然なのか、それを逆手に取る様子などは一切なく、主人公を大切にしている。花柄の上着にエプロン、田舎のメイド風の服装。王族が発掘した人類のテクノロジーの一つで、人間の戦闘補助を行うマシーン。人間の遺物を見るとその機能を理解し、発動準備を行うことができる。ストックを含め、数十体が秘密裏に保管されている。人間の臓器を模した人造臓器を備え、人間と同じ食事をとり、人間と同じように睡眠する。人造血液を備えた高性能のサイボーグ。かつては、労務の為の存在として、合成人間と競合関係にあったが、コスト面の優位性から廃れてしまった。一方で戦闘支援用として、人間と全く同じ見た目ながら、センサー類が充実しており、聴覚、闇夜での視力など人間を上回り戦闘の補助を行うことができる。また、女性型である点は、兵士である男性を満足させるセックスロイドとしての機能も考慮されており、そういった疑似生殖機能も内蔵している。
女王(アインホルン・フォン・エルシア五世)
国を支配する女。金髪のお母さん系の風貌だが、実は長寿命化マイクロマシンを注入した人間のクローン体。肩口の露出した白色のAラインドレス、肘までを覆う白色の手袋。近年の王族は全て人間のクローンを長寿命化したものであり、エルシアもまた、外見年齢を超える老齢である。また、過去より精神構造体をコピーし続けており、実質な数百年の時を超えて生きている。温和な表情とは裏腹に、冷徹な一面を持つ。滅亡してしまった人間世界に対して慙愧の念があり、飽くまで合成人間の世界を存続させようと冷酷な判断を行う。また同様に人間のテクノロジーの中で主要なものは収集し、最終的にはすべての破壊を目論んでいる。城の城塔にはメテオからの電力送信を一時的に妨害する装置があり、完全に能力を発揮できないので魔王たちは女王を殺せずにいる。
七人の魔王
テクノロジーの破壊=大災厄の後、七難と呼ばれる国家の存亡を脅かす戦いが始まり、そこで十三人の勇者が現れ、これに勝利したという伝説がある。その後、没夜と言われる闇落ちした十二人の勇者が、禁秘の魔術、延命を用い新たに魔王となり、その内、現在生きている者が、七人の魔王と呼ばれている。
実は、七難というのは単なる国家間の大戦争で、その戦闘に先頭に立ったのは約100体の、マイクロマシによる肉体強化を受けたクローン兵だった。敵国も肉体強化を行ったクローン兵を繰り出し過酷な戦闘が繰り広げられた。一方で、同一精神で構成された彼らは強固な団結で結ばれ、一人一人が死んでいくごとに心を削られ、国家戦争に勝利したときに残っていた十三人の精神は消耗し切っていた。その後、過酷な運命を強いた王族を嫌悪し、自分たちを祭り上げた合成人間も忌み嫌い、仇なす存在となった。一名の勇者が残って二人の没夜した勇者、即ち魔王を殺害したが、その後、勇者は死亡。以後、王族は、数百年に渡りクローン体を作り出しては抹殺を試みるも、三名の魔王が殺害されたにとどまっている。魔王たちの服装はそれぞれだが、概して鎧、マント、奇妙なローブなど。
訓練教官(セオ/ディア・パルヒュージェ(ディア十一世))
仮面の老騎士。主人公に剣術を教える。女王の腹心。襟付きのシャツにゆったりしたズボンに脚絆を付けてブーツを履いている貴族のような風体。戦闘中はプレートアーマーにマント。実際は生まれてから三十年ほど、二十年前に前線を退いたクローン体だった。女王は七人の魔王=クローン体を始末すべく、何人ものクローン体を生み出しては刺客として送り込んでおり、セオもその一人。魔王を二人抹殺した唯一の勇者として伝説となっている。抹殺後、老齢となり、指南役を必要としていた女王に認められて自爆装置を埋め込まれた状態で特別に生存を許可されている。精神構造は老齢(60歳時点)の主人公のコピー体である。セオは独自に訓練生を5人輩出したが全員死んだ。実際のところ、魔王たちにはゴキブリのセオと呼ばれていて、臆病であるがゆえに慎重に付け狙い続け、不利と見ればすぐに逃げいていたので生き延びていた。幸運に恵まれ一人の魔王を抹殺、もう一人の魔王は、最も精神年齢が若く、手紙を送り続け、懐柔して騙したところで殺した。自ら思うところがあり、女王に仕え、また魔王を抹殺することに執着している。女王に忠誠を誓いながらも、次々に生み出されては死んでいくクローン体を憐れみ、どうにかしたいとも思っている。
●物語の構成
【ログライン】
平凡な主人公が転生して、魔王と戦い、ヒロインを取り戻そうと戦う話
【構成】
〈本巻全般構成〉
プロローグ(2P)、1章(26P)、2章(28P)、3章(28P)、4章(26P)、エピローグ(2P)⇒1~3Pの誤差、前120P前後を想定
【プロローグ】
主人公が強力な敵と対峙して、今まさに戦いが始まろうとしている。主人公の目的は達成できるのか?(4章の最終シーンをカットイン)
【1章】
大学の夏休み、主人公はいつものように治験に参加し、記憶が途切れる。目覚めると、金髪の美しい女性が枕元におり、古城の一室にいた。そこで女性から謎の飲み物を飲まされると再び気絶する。転生し、肉体強化用のマイクロマシンを飲まされたのだった。再び目覚めると、勇者となり魔王を倒さなければならないと、女王から告げられる。承諾しなければここで死に、承諾すれば望む生活が得られるという。仕方なく承諾した主人公は、世話人でサイボーグのミーシャと共に老騎士のセオから特訓を受ける。いつもの調子で気楽に毎日を過ごす主人公だったが、女王とセオの様子は何処かおかしい。一方、主人公とミーシャは親交を重ね、城外の宝石商の店先でペンダントをプレゼントする。宝石商では人間のテクノロジーの遺物が宝石として売られていて、ミーシャはプレゼントされたペンダントが何であるか知っていたが、快く受け取る。地方では魔王が猛威を振るい、討伐せざるを得ない状況に陥っていた。女王とセオは、主人公が魔王を討ち取る可能性は低いと感じていたが、討伐へと向かわせる。
【2章】
情報によると、魔王間で仲たがいが起きており、負傷した魔王がと王都近郊に落ち延びたという。主人公とミーシャは現地に向かい、討伐の準備を進める。
あわただしく緊張感が高まる中、ミーシャは主人公に、なぜ自分にそこまで優しくするのかと問う。プリセットされている人間との協力関係の中にはそのような優しさはないという。主人公は戸惑いながらも、最初に優しくしてくれたのはミーシャだからという。ミーシャは、優しくするのが支援型のバトルロイドの役目ですよ、と照れながら話す。また、死ぬのが怖くないのかととう主人公に、ミーシャがロボットなので怖くないという。主人公は、死んだら俺と会えなくなるが?と問おうとして、その答えが否定的である可能性を恐れ、それ以上聞けなかった。状況を整えた主人公は、廃城へと忍び込む。だが、その行為は既に予期されていて主人公とミーシャは捕まってしまう。廃城の広間で目覚めた主人公は、捕まってはりつけにされたミーシャを目撃する。魔王たちは勇者が現れたことを聞きつけ、罠にかけたのだった。魔王たちは実力の低い主人公に対し、凄惨なリンチを加え、更にはミーシャの身体を切り刻み始める。主人公は抵抗するが、実力の差は予想以上で両足を撃ち抜かれ、片腕を斬り落とされる。ミーシャは頭蓋骨を引き裂かれ、中の記憶片をかき回されて拷問される。拷問の中で一瞬だけ正気を取り戻したミーシャはペンダントを掴むよう叫ぶ。主人公は死力を振り絞り、魔王たちの間を抜け、ミーシャへと走る。ペンダントが起動し、広間が閃光に包まれたとき、主人公はミーシャの千切れた腕にはたかれて川底へと転落し、魔王たちから逃げ延びる。
【3章】
瀕死の重傷を負い、城に戻った主人公は、魔王たちから聞かされた自分の出自(クローンであり、保存された記憶を移植されたこと)を女王に告げて自分が騙されていた事を指摘する。その後、ダウンロードできるならアップロードできるはずで、アップロードした自分の記憶を、復讐の為に新しいクローン体にダウンロードするよう要求する。女王は迷いつつもそれを承諾する。再び新たな体を得た主人公はもう一度、セオから特訓を受ける。特訓の効果を知っていた主人公の技能は更なる高みへと上り詰める。セオは主人公を未熟なまま送り出さざるを得なかったことから、心苦しく思っていた。心技を整えた主人公は消えた魔王たちの行方を捜すために、セオが秘密裏に連絡を取り合っていた孤高王と呼ばれる魔王に話を付けに行く。その道中、セオは、自分が魔王たちにゴキブリのセオと呼ばれていることを話す。自分が行ってきた卑怯な戦いを聴いてほしいのだという。卑怯で惨めな自分が偉そうに人にものを教えるのは心苦しかったという。主人公はセオの教えで命を繋ぐことができたといい、セオは初めて礼を言う。二人は、深く霧の立ち込める渓谷にある館で孤高王と対峙する。孤高王は、一つだけ望みをかなえると話し、主人公はミーシャを殺した4人の内、一人の魔王の行方を知る。一方で、望みをかなえるための条件は、セオの命を差し出すことだった。孤高王は、親友である魔王をセオに騙され無残に殺されていたのだった。セオはそのまま死ぬ気だったが、主人公は生きるべきだと言い協力して戦うが苦戦。最後にセオは自らの命と引き換えに隙を作り出し、主人公は魔王を倒す。セオは主人公に最後の言葉を残し、死んでしまう。
【4章】
孤高の魔王との話の中で、ミーシャの記憶片を魔王たちがコレクションしている可能性がある事、記憶片から新たな体にミーシャの人格を再現できることを知った主人公は、魔王を討伐し、記憶片を取り戻すことを決意する。一方で、主人公は魔王との会話で得た不審な点を女王に問い詰める。女王は自らも人間のクローンであることを吐露したうえで、王族の秘密を話す。更には、記憶保存可能領域は二名分のみだけだったことを話し、勇者のクローンを作り出すことはできなくなったことを伝える。主人公はセオのようにしぶとく戦うべきか、ミーシャを助け出すか悩むが、彼女が自らに優しくしてくれた思い出を優先し、またセオの「人間ならば悔いが残らないよう自由に生きてもいい」という言葉を思い出し、命を捨てても助けようと考える。その後、城を発った主人公は、孤高王から知らされた魔王の居城に乗り込む。剣技に秀でる魔王、閃剣覇王と対峙した主人公は、セオの教えを昇華させ戦うも苦戦。最後に、自分が勝っているのはマイクロマシの能力や技術ではなく、肉体の差だということに気が付き、傷を負いつつもメテオによる充電が切れるまで打ち込みを繰り返し、最後の一撃を打ち込む。閃剣覇王は剣を突き出し、主人公の突撃を阻止しようとするが、主人公は自らに剣が刺さるのを気にも留めず、閃剣覇王の首を跳ね飛ばす。重傷を負い倒れ込んだ主人公だったが、脳裏に浮かんだミーシャの姿を確かに感じ、記憶片を探そうと立ち上がる。
【エピローグ】
セオもミーシャもいない城。残りの記憶片を取り戻すため、魔王を抹殺することを決意、仲たがいしているという偽情報の元を確かめようと主人公は旅に出る。街には、過去、人間によって作られ人間の為の労働力として使役されていた合成人間達があふれて、自由に生きている一方、人間の自分は閉ざされた運命の中にいることを主人公は皮肉に思う。女王は自らの行為に自責の念を感じつつも、血濡れた道を主人公と共に歩む決意を新たにする。
【2巻以降の展望】
〈1巻~3巻構成の場合〉
1巻⇒魔王の一部を倒し、ヒロインの欠片を取り戻す。
※ 単巻で出す場合、魔王の生存数を調整し、ヒロインを助けてハッピーエンド(記憶片も一つだけにしておく)。
2巻⇒2巻で止める場合は魔王を倒し、ヒロインの欠片をすべて取り戻しハッピーエンド。3巻まで行く場合も同じ要領で引き延ばしにて対応可能
3巻~⇒3巻以降に続く場合、強力な武器を使用する為に戦闘支援ロイドが必要と いうことで、ヒロインの欠片を一部使用し、再起動、別人格のヒロインが生まれる(最終的には抹消されてしまう)。女王はいさかいのない世界を望み、人間のテクノロジーを抹消、人間自体も抹消しようとしていた。その為に魔王を全員殺し、自分も死のうと考えている。現状、5巻ほどまで対応可能。最終的に主人公とヒロイン、女王がどうなるかは未定
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます