第8話 数字の表記——漢数字とアラビア数字(縦組み編)

 文章の中に数字を入れるとき、漢数字にするか、アラビア数字にするか迷うことはないでしょうか。数字の表記について「漢数字なら漢数字だけ、アラビア数字ならアラビア数字だけを文中で使わなければいけない」と、誰かが書いていたのを見かけたこともありますが、実際にはやり方が様々あって一つではありません。そのためはっきりとした基準も本当はないんです。


 もちろん、出版社や出しているレーベルによって方針はあり、その中で漢数字とアラビア数字共に使うこともあります。それは漢数字にしたほうがしっくりくるものもあるし、アラビア数字の方かいいこともあるからです。しかし混じることによって読者に混乱を招かないよう、注意が払われています。


 さて、基準がないのなら個人は何に注意して書けばいいのか、悩むところでしょう。そのため今回は、方針としてよく採用されるものをピックアップしてみました。また組み方によっても方法が違うので、その点も気を付けて見てもらえると良いです。


 まずは縦組みの場合について説明します。


【漢数字を主に使用する場合】 

 漢数字を使用するときは、単位語を入れるかを考える必要があります。単位語とは、十・百・千・万・億などのことです。これらを全て使用する方針を、俗に「十[トンボジュウ]方式」といい、四桁ごとの単位語のみを使用する方針を俗に「一〇[イチマル]方式もしくは一[イチ]方式」と呼びます。


◆三桁以上の場合◆

①「十方式」を方針としたとき

 三百九十一万二千七百二十三円


②「一〇方式」を方針としたとき

 三九一万二七二三円


 また、三桁ごとに位取りを入れる方針もあります。


③「三桁ごとに位取りを入れる」ことを方針としたとき

 三,九一二,七二三円


 ③は読点を入れることもありますが、カクヨムでの表記では少々分かりにくいので(アキの調整が必要)、例文ではカンマを使用しています。また、単位語をいれるときは位取りは原則として入れません。


「ゼロ」や「レイ」の表記は、「ゼロ」「零」「〇(漢数字)」「0(アラビア数字)」があります。単独の場合は「ゼロ」を使用。熟語は漢字の「零」を用います。




◆二桁の場合◆

 漢数字を主として使う場合「一〇方式」の表記が一般的ですが、法令の番号や巻数は「十方式」を使用しています。また、二桁の数字に限って、単位語の「十」を入れることもあります。


①日付

 平成二十八年十二月二十二日


②年齢

 二十一歳


③枚数や回数など

 三十八枚、十回


④世紀

 二十二世紀


 もちろん、十を抜いた表現でも構わないませんが、上記に挙げた例文の方が見かけるのが多いかもしれません。



◆単位語を入れないで表記するもの◆

 単位語を入れないで表記するものには、西暦、電話番号、部屋番号といった、数字の並びだけ分かるものが挙げられます。


①西暦

 二〇二二年


②電話番号

 〇一二-三四五-六七八九


③部屋の番号

 二〇三号室



◆キリのいい数字のとき◆

 キリのいい数字のときは、単位語を使用する場合もあります。


①キリがいい数字場合

 三〇〇〇円

 三千円


 ただし、三桁、四桁の数字のなかで、他の単位語が使用できる状態のときは、使用しません。


②キリがよくても単位語が使えない場合

 三五〇〇円→三千五百円としてはいけない。

 二五〇円→二百五十円としてはいけない。



◆漢数字を主に使用していても、アラビア数字を使用するべきもの◆

(例)

 A4のコピー用紙、A5サイズ、2Bの鉛筆、etc…


◆漢数字を使用すると紛らわしくなるため、アラビア数字を用いるもの◆

(例)

〇スポーツ関係

 1分30秒、背番号1、etc…


〇道路

 国道1号線



【アラビア数字を主に使用する場合】

◆日時、数量、順序などを表わす語を音読みする場合◆

「8時15分」「第3回」などは、アラビア数字を使用します。



◆日時、数量、順序などを表わす語を訓読みする場合◆

「1つ」「2つ」「1人」などは、「一つ」「二つ」「一人」としても構いません。つまり、漢数字、アラビア数字、どちらを使っても構わないのです。そのため、本文中の表記ゆれを防ぐために、どちらを使うかを決めておく必要があります。


◆熟語や成句などは、使用する数字表記の方針に拘わらず、そのまま使用する◆

 一期一会、三角関数、八十八夜、二院制、etc……


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