第3話 行頭——字下げをしないもの

 前回の内容で「段落の行頭は必ず字下げをしなければならない」と思ったかもしれませんが、そうではないものもあるので確認しておきましょう。


「」鍵かっこに入れた会話文は字下げしない】

(例文)

「この映画、面白かったね」

「うん、とても面白かった」


<解説>

「」に入れた会話文の場合は、字下げしません。

 そうしている小説もあるにはありますが、(田辺聖子著書の『ジョゼと虎と魚たち』)、一般的ではありません。作者に余程のこだわりがあり、そうしなければならない事情があるのであれば別ですが、基本的には「」の会話文は字下げしないのが一般的です。『』二重かぎも同じように取り扱います。


*田辺聖子『ジョゼと虎と魚たち』(株式会社KADOKAWA/S62.1.10)


【地の文のあとに改行し、「」に会話文や引用文が入る場合】

(例文)

 彼女は、

「この洋服、素敵!」

と言った。


 彼女は、

「この洋服、素敵!」

 と言った。


<解説>

 ①のように地の文を改行し「」に、会話文もしくは引用文を入れる場合は、次の改行に続く文章は行頭に組みます(字下げしない)。つまり、今回の例文だと「と言った」の部分を改行したからと言って、段落字下げのルールを適用しなくて良いということ。理由は、「彼女は~」から文章が繋がっているからです。


 しかし、だからといって②の形が誤りというわけでもありません。「と言った」の部分を字下げる方法も許容されていいます。どちらの習慣を適応しても構いませんが、作品全体の中でどちらか一方のやり方に統一したほうがよいでしょう。

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