属性無しの魔法師〜無能魔法使いと侮ることなかれ〜
ヴァッハCNS
第1話 学院生活
「はあ…今日もダメか〜。」
ため息とともに僕は落胆した。
「またかよ、この落ちこぼれ君」
「勉強だけできてもそれじゃあなぁ」
同級生はみな僕のことを無能と蔑む。それもその通りで、僕はみんなのように属性魔法を使うことができない。
「ライアス君、才能がないものはどうしようもないですね」
呆れたようにエバン先生が言った。
「そもそも、このクラスにいるのが場違いなんだよ」
そう口にするのはクラスの中でもとりわけ優秀な魔法使いであるイアン・ノーブルだ。イアン君の親はどちらも優れた魔法使いで、ノーブル家と言えば、王国でも有名な貴族である。
僕がいるのは学院の中でも優秀者が集まる特別クラスである。なぜ僕がここにいるのかと言うと、単純に魔力量が高いことと筆記試験で満点を取ったからだ。
「とりあえず授業の続きは明日にしましょう。明日からはダンジョン探索も始まるので各々準備しておくように」
先生がチャイムが鳴ると同時にそう言うと、みな一目散に装備品を買いに学院をあとにした。
僕は施設で育ち、今は一人暮らしをしているためお金の余裕があるはずもなく、貸出の装備で我慢するしかない。
そんな僕の唯一の特技で生活費稼ぎにもなるのが家事代行をはじめとした雑多な依頼をこなすことである。
学院生は冒険者ギルドにF級として登録されており、冒険の基礎知識を学ぶための採取依頼や講義、お小遣い稼ぎとしてのちょっとした依頼を受けることができる制度がある。
「今日も来てくれたのかい、助かるよ。今日は掃除を頼むね」
宿屋のおばさんからはいつも掃除の依頼などを受注しているためすっかり馴染んでしまった。
僕は属性魔法、いわゆる火力の高い魔法や怪我を治す神聖魔法などを使うことはできないが、生活魔法は使うことができる。
そのため、こうした雑務をこなすのにはうってつけだった。そうこうしていたら、いつのまにか夜になっていたので、眠りにつく。
翌朝、学院ではダンジョン探索の前に講義が行われた。
「ダンジョンについての説明は以上です。最後に魔法の属性と適性についてです」
説明によると、ダンジョンは定期的に出現し、ボスを倒すと報酬が出て一定時間経つと消えるらしい。難易度は出現するたびに異なるが、放置されすぎると難化していくそうだ。
魔法については、属性が基本的には火、雷、土、水、風、光、闇と基礎属性があり、適性によって使える属性が複数になることもある。
適性が多い者は組み合わせて新たな属性魔法を作ることも可能だという。
「それでは、そろそろダンジョン探索を開始します。チームごとなるべく離れないよう進み、一番奥の部屋まで行ったら転移魔法陣で戻ってきてくださいね」
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