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「たまには顔ださないとねー?うん。えーもう仕事行くのー?えー」
どうやら電話を切られたようだ。
「未来ちゃん、なんだって?」
「悟流、授業終わって仕事に向かうとこだってーショック~」
「そうか…」
器用な息子である。大学通いながら仕事とか。しかもライブハウスにも行くとか。あいつはなんなんだ?いつも忙しいのが好きなのか?
「パパ、このクラスの子はみーんな真面目そうだねー」
研究室だけども。
「そうだね。研究熱心なんだよ」
「ふーん」
「未来ちゃん、コーヒー入れようか?」
「いいよ!自分でやるから」
研究室なんかに現れるのは、ほんと久々で。院生も知らないだろうし。
勝手にソファでくつろぐ未来ちゃん…かわいい。悟流は未来ちゃんに似て目がくるくるっとしててかわいいが、性格が俺寄りで…そこはちょっと嫌な気分だ。
「仕事しなくていーの?」
「あぁ。集中は長く続かないし、休憩を挟みながらが効率的なんだよ」
「数学バカだねぇ。さてと。それじゃー学食とか行ってみよーかな?もうお昼終わってるけどね」
「…ごめん。ちょっとここは離れられないから…」
「パパはお仕事頑張ってね?1人で大丈夫だから」
「…うん。今日は帰ると思うから」
「はーい、じゃー戻るね」
未来ちゃんとの、この空間からさよならか。
「皆さん、邪魔してごめんなさい。お勉強頑張ってね」
未来の声に皆呆然としていた。
「悪いな。レポート出していいぞ」
「先生、あの人は本当に…」
「奥さんなんです?」
「若いように見えますが…」
この言われようは変わらない。昔初めて連れてきたとき、まだ未来ちゃんは20代前半で。生徒と付き合っていると言われたんだった。
「私の妻だ。レポートの締め切りまでに間に合うように頼むぞ」
「は、はい」
どうやら脳はレポートに切り替わったようだ。
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