大学訪問

1

「すみません、早川はいますか?」


「え…教授、でしょうか?」


ここは東京大学の数学科の研究室である。そこに訪問してきたのは、ここにふさわしくない風貌の華麗な女性だ。


「はい。そうです」


「あの、どういったご用件で」


学生は恐る恐る質問した。


「私、妻です。話があって」


「え、そうなんですか?」


先生に妻がいるという話は聞いたことがない。ここにいる生徒誰もが怪訝に思った。


「お願いします」


ぺこりとおじきをする女性に、皆困惑するしかない。


「…確認をします」


早川教授は、部屋に閉じこもっている。用がないときは入ってはいけない。


「すみません教授、奥様と名乗る…」


言い終わる間も無くドアがあいた。


「…な、なんで」


早川教授は驚きの表情をしている。皆、愛人かなにかかと思わずにはいられない。


「忙しいとこごめんね」


「いや、中入りなよ。レポートはすまないが後にしてくれないか?」


「…わかりました」


早川教授は女の人を部屋へと招き入れた。いったい誰なのかと、その後生徒たちは話し合った。

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