ジャッジ!

打ち出の小槌

喫茶店編 情報、そして推理、そしてその次は?

第一幕 (1)

 ぽつりと灯りがあった。

 喫茶店『巫女』という看板が出ている。

 神社の宮司がやってるという和風の喫茶店であった。なにやら落ち着いた和楽器でのミュージックが流れくる。

 ふいに店から、「あらまっ」と驚く声があった。

「姉ちゃん。今まで警察にいたの」

 巫女姿のウエイトレスが、イカ墨をスパゲッティにからめつつ振り向いた。

「そうなのよ、杏子。よりによって、うちの書店で閉店間際に万引き。取っ捕まえて通報したらあたしも事情を聴きたいって、警察署にお呼ばれなの」

 あははと姪でもあるウエイトレスの杏子が笑う。

「それは御苦労さま。おたふく書店、栗田茜主任どの。でも近頃の万引きは巧妙っていうのに、よく捕まえられたものね」

 茜は苦笑い。

 ほんのり赤毛の髪をポニーテール。眉をすっと描き瞳はつぶら。通る鼻筋に、リップは桃色の可愛い顔つき。けれど、その笑みにはややお転婆がにおっていた。

「初めてかな。監視カメラあるのに堂々と。そりゃ捕まえるわよ。けど、その中学の男子、そこから往生際の悪いのなんの。やってないって」

「あらお馬鹿、カメラにバッチリでしょ」

「それが、友達がやれって。やらないといじめられる。だから自分でやったのじゃないって」

「ほざくわね」

「おかげでその友達関係も調べる。ちなみに友達は店に来たか?と」

「それでお呼ばれね」

「まったく、どっかのドラマのように崖の上で罪をぺらぺらなんてない。現実はほんと、白々しくも嘘ばっか」

「ひとは嘘つき」

「だから、警察官二十四時をご覧あれ。いかに情報というねたか。現場の警察はねたが武器。それが嘘を見破って、犯罪をあばく」

 杏子がぷっと吹いた。

「でたな。警察官二十四時のオタク。もう県をいえば、あの警部ってなるってね。ちなみに先週やってた横浜レディースマラソン大会。その先導やってた女性白バイ隊員て、わかる?」


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