ファーストワン〜少女は白銀の機体と共に戦場を舞う〜

ありすぶるー

プロローグ いつか来る未来の話

少女、戦場にて


 ——ナノエンジン損傷。動力低下。稼働可能時間、残り三十秒。



 無機質な声で告げられた死の宣告に、少女は怯むこともなくスラストレバーを前に押し出した。


 顔色一つ変えることも無く、モニター越しに映る《機械仕掛けの神デウスエクスマキナ》を睨み付ける。

 神さえ殺せれば。あとはどうでもいい。


 少女が搭乗する《人型機械マキナ》——白銀の機体、《ファーストワン》がエンジン音を響かせた。近くの建造物を揺らし、大地を震わせる。


 そして、弾かれたように加速。


 ファーストワンと《機械仕掛けの神デウスエクスマキナ》、二つの機体が互いにぶつかり合う。取っ組み合い、互いの動きを封じる。


 ——活動限界まで、5、4、3……。


 少女がタッチパネルを操作し、あるスイッチの保護機能を解除した。

 スイッチに指をかける。後悔はない。このために、生きてきたのだから。


「私の、勝ち」


 淡白に。なんの感情もなく、ただ一言。


 少女——ロゼは、命尽きるその瞬間を待ち侘びていた。




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