第025話 豪運×幸運の相乗効果
「大量大量」
「ホント凄い量だよね」
「これだけあれば選びたい放題だな」
俺たちの前には戦利品が整理されて並べられていた。
今回の成果は木箱六十、鉄箱三十、銀箱十、金箱五、虹箱二である。俺が一人で倒したシャドウの数よりも圧倒的に少ないのにこれだけの数である。
エンジュのスキルがどれだけとんでもない効果かというのがはっきりと分かる。
木箱は相変わらず使えるのか使えないのか分からない硬貨類や素材らしきもの、そしてポーション類がほとんどで、たまに薬草や毒消し草などの植物が混じっている。
鉄箱は初心者用の武器防具と強化石と呼ばれるアイテムばかりだった。
銀箱から出てきたのは、
シャドウナイフ:シャドウの骨で作られたナイフ
シャドウブレード:シャドウの骨で作られた刀
シャドウシューズ:シャドウの皮で作られた靴
シャドウグリーブ:シャドウの骨で作られた足甲
シャドウロッド:シャドウの骨で作られた杖
対麻痺のネックレス:麻痺にかかる確率を少し下げる
対暗闇のネックレス:暗闇にかかる確率を少し下げる
風霊のブレスレット:風属性の攻撃力を少し上げる
火霊のブレスレット:火属性の攻撃力を少し上げる。
敏捷の指輪:素早さを少し上げる。
という十種類だ。
武器防具は初心者用装備を付けていた修二と聡が使えそうだ。ネックレスも二人がつけておいたほうがいいだろう。属性攻撃を強化するブレスレットに関しては俺が魔法の検証ができ次第装備するかもしれない。
敏捷の指輪は、敏捷が売りの聡が使えばいいだろう。
金箱に関しては、
グレイオーラスーツ:その見かけによらず、鎧よりも優れた防御力を誇る灰色のボディスーツ。体にフィットして動きを阻害しない。男性用。
従魔の証:従魔に着けることで親密度がアップ。能力も二割アップする。
スキルの書(水魔法(レベル一)):レベル一の水魔法を覚えることが出来る。
上級強化石:武器の強化で使用する。通常の強化石よりも成功率アップ。
スチールアーマー:鋼で作られた鎧
の五つだ。
特筆すべきはやはり灰色のグレイオーラスーツだろう。これはシャドウスーツの上位互換だ。またボディスーツを手に入れてしまった。これは『シャドウガールズ』を毎日崇めたご褒美なのかもしれない。
これは男性用なので俺が着る。俺もパワーアップだ。
「こいつ誰も着てないボディスーツに頬ずりしてやがるぞ?」
「いつものことでしょ」
二人が後ろで何を言っているが聞こえないな。
従魔の証はエンジュにぴったりだ。それにスキルの書なんて絶対皆が欲しがるアイテムが登場してしまった。こんなものがあるなんて衝撃だ。
これを使用すれば誰でもスキルを覚えられるってことだ。修二か聡のどちらかに覚えさせれば水の心配をしなくてよくなるので良いと思う。できれば一人一つ欲しいアイテムだな。
上級強化石は名前の通りで、どうやら俺のクラフターを含む、強化スキルで使用するアイテムだった。鉄箱でよく出る強化石の上位版で、成功率が上がるらしい。強化に関してはまだ未検証なので、その効果は使用する時に明らかになるだろう。
スチールアーマーは修二が着ることになるかな。一番それっぽいし。
そして最後の虹箱。
開けてみると二つとも鞄だった。
ただし、鑑定してみると予想通りであり、それ以上でもある結果が表示された。
「どうやら二十四畳一室くらいの容量の鞄と、俺が元々持っていた十二畳一部屋くらいの容量が入れられる鞄だぞ」
「マジかよ!?」
「うわぁ。手に入れられるのはまだまだ先のことだと思っていただけど、まさかこんなにあっさりと入手できるとは思わなかかったよ」
俺が鑑定結果を伝えると、修二は驚愕を顔に浮かべ、聡はそのあまりによすぎる運にドン引きしながらこっちを見ている。
「俺もまさか二日間でこんなに沢山マジックバックを手に入れられるなんて思わなかったわ……」
そんなことを言われても俺はどうしようもないので、両肩をあげて呆れるしかななかった。
「それでどうするんだ?」
「何が?」
「そのマジックバックだよ」
修二がマジックバックの行方を気にしている。
うずうずしているところを見ると自分も欲しいということか。最初からそうするつもりだったから問題ない。
「ああ。そういうことか。俺が二十四畳分の入るマジックバックを貰って他二つを聡と修二に渡すのでいいか?」
ただ、一番いいのは俺がもらう。俺とエンジュの運でドロップしたアイテムならそれくらいの権利はあるはずだ。
「僕はもちろんいいよ」
「俺もそれでいいぞ。十二畳でも十分だろ」
「分かった。それじゃあちょっと待ってくれ」
二人とも了承してくれたので俺は中身を入れ替えて二人にマジックバックを渡した。
「やっぱり必要なものを重さを気にせずに持っていけるのは助かるね」
「それな。これがあるだけで生存率がめっちゃ高まるし、ホント楽だわ」
二人も早速今まで学校の鞄やリュックに入れて無理やり運んでいたのをマジックバックに入れることで身軽になったことを実感している。
「にぃ~」
彼らと話をしているというのに俺の顔にすり寄る生物。
「そうか。従魔の証を付けてほしいんだな?」
「にぃ!!」
それはエンジュだった。
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