③ シュルベルツ国王ルート


「ーーー陛下ッ!!今日も麗しいですわ」


「今日もヴィクトリアは可愛いね」


「かわっ、可愛いのは陛下ですうぅうぅ……!!!」


「え……?」



寝癖なのだろうか。

所々跳ねた髪と柔らかい笑顔が大変愛らしい。

それに側に居なければ見られない様々な姿は特別感があって目の保養である。


そして今日もヴィクトリアの心は荒ぶっていた。



「…………ジー、ザス!!!!」


「あっ……!困ったな。ヴィクトリアがこうなると僕が怒られるんだけどなぁ」


「………………」


「おーい、誰か来てくれ」



暫くすると近づいてくる足音とココとホセの姿。



「陛下……またですか?」


「まったく、いい加減にして下さいませ!」


「ひどいなぁ……僕は挨拶しただけなんだけど」


「ヴィクトリア様、起きてくださいませ!」


「ハッ……!!」



己の欲望のままに生きるヴィクトリアは、今日もシュルベルツ国王の元に入り浸って、彼が心地よく過ごせる為に全力で奉仕していた。


以前よりも関係が進展していると思うのは、二人きりの時だけに見せてくれる特別な顔があるからだ。



「そろそろ休憩しようかな」


「はい。わかりましたわ!でしたらヴィクトリアのスペシャルブレンド紅茶を……」


「紅茶は後でいいよ」


「…………?」



そう言ってゆっくりと立ち上がったシュルベルツ国王陛下を目で追っていた。

彼はソファーに腰掛けた後にヴィクトリアに向かって手を広げた。



「ん……いいよ?」


「えっ……!?」


「ほら、ヴィクトリア……早く」


「で、ですが……」


「今は誰も居ないよ?それにヴィクトリアとの約束もちゃんと守ったし、仕事も終わらせたけど」


「~~~っ!」


「僕に……ご褒美、くれないのかな?」



有無を言わせぬ笑顔にヴィクトリアは仰け反った。


「ご褒美があれば頑張れるのにな~」そんな言葉に「わたくしが出来ることならばなんでも致しますわ」と言ったのがそもそもの発端だった。

しかし『ご褒美』欲しさなのか、シュルベルツ国王はキチンと休憩を取り仕事をこなすようになった。



「わっ、わっ、わっかりましたわ!!わたくしだって一度決めた約束は守り通しますからッ」



ヴィクトリアはギュッとエプロンを握りながら、シュルベルツ国王の元へと近付いていく。

いつの間にかスルリと外されているエプロンとギシリと軋むソファ。


ヴィクトリアが身を屈むと腕を引かれて、シュルベルツ国王の上へと倒れ込んだ。



「きゃっ……!」


「大丈夫。襲ったりしないよ」


「と、当然ですわ!!」


「ふふっ…………はぁ、癒されるねぇ」


「!?!?!?」



シャツの隙間から見える綺麗な首筋にゴクリと喉を鳴らす。

いつも机に向かってばかりで細身な為、あまり筋肉はないと思っていたが、チラリと見えたシュルベルツ国王のほんのり割れた腹筋を見て、気絶したのは記憶に新しい。


「昔ほどじゃないけど……!あはは」


と笑っていたが、昔はどれほど激しかったのか是非とも教えていただきたいところである。


それにまだまだ剣の腕も鈍っていないようで、イーシュ辺境伯との手合わせを見せてもらった時には、あまりにも雄々しいシュルベルツ国王陛下を見て、腰砕けになったのは記憶に新しい。


「自分の身は自分で守らないとね」


そんなギャップにヴィクトリアの心臓はバコンバコンと動きっぱなしなのに、シュルベルツ国王はというと……。



「おやすみ……」



ヴィクトリアを抱き枕代わりにして眠る事にハマっている。

二人きりの時限定ではあるがダイレクトに感じる体温。

男性らしい香りとムスクの香りが混じり合って脳がくらくらする。


上からスースーと寝息が聞こえ始めたらヴィクトリアタイムのスタートである。



「はぁ…………陛下好き」



ヴィクトリアの独り言が静かな部屋に溶けていく。

この時だけは、ヴィクトリアがシュルベルツ国王陛下を独り占め出来る特別な時間なのだ。



「…………大好きですわ」



ポツリと本音を呟いて、恥ずかしさに悶えていた。

幸せいっぱいのヴィクトリアは、このご褒美タイムを密かに楽しみにしている。



「もう陛下なしでは生きていけませんわ」


「…………僕もだよ」


「え……………?」


「ねぇ、ヴィクトリア……もう一回、僕の目を見て"好き"って言ってみて?」


「ーーーッ!?!?!?」







シュルベルツ国王ルートend❤︎

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