美しさを手に入れたい!
たから聖
第1話 醜い女の子。
『初めまして、マリーナです……。』
この顔で転校したのは、
もう何回目だろう?
マリーナは、下を向き溜息をつく。
何故なら、マリーナは心は美しくても、顔が醜いからだ。
マリーナの両親は、
とりたてて顔が悪かった訳では無い。ただひとつ問題だったのは、
マリーナは脳性麻痺を幼児期に
起こして、その顔に後遺症が
出てしまったのだ。
幸い、命には別状は無くマリーナは本日、10回目の転入先へと
早々に、挨拶を済ませて……
一番後ろの席へとゆっくり歩いて行った。
と……その時!?マリーナは
勢い良く転んでしまった。
誰が?引っかけた?
マリーナは、この手の扱いにも、もう慣れきってしまっていた。
両親に、意を決して打ち明けても整形手術を受ける事も、許されずに、ただただ、
マリーナの心は深く傷付いていた。マリーナがふと
隣の席の子を見ると……
マリーナは目を奪われた。
隣の席の子は、学校1モテる
女の子だった。
栗色のツヤツヤなロングヘアー
に、目の美しい輝きは、憂いを
帯びている。
洋服も、センスがとても良くて
足なんて、カモシカの様に、
年齢よりも年上に見えるほどに
細く長く、伸びていた。
一瞬で、その美しさに心を奪われる男の子は、たくさん居るのだが。。。なにぶん、その子は、
性格に問題があったのだ。
マリーナは、性格が悪くても美しい方が、人生勝ち!
だと、思っていた。
そう、思わざるを得なかったのだ。マリーナは
栗色のロングヘアーの美しい子に
……勇気を出して、声をかけた。
『初めまして貴方の名前は??』
その女の子は、顔をぷいっと横に向けて、まるでマリーナが
見えてない様な
そんな素振りをした。
マリーナは、深く傷付いた。
女の子にまで、
私は、嫌われるのね……。
一番後ろの席で、マリーナは
下を向き、一筋の涙を流した。
と…………その時!?
クラスメートの騒がしい声が、
ピタリと、おさまった!
そして。みんな微動だにしない。
マリーナ以外は、みんな動きが
止まってしまい、時が止まった様に思えた。
マリーナは、目を疑い、
教室から教会へと、1人走り出した!
『はぁはぁ……はぁはぁ……。
みんなを、みんなを助けなきゃ!!』
神様……!!!
マリーナは、教会の扉を勢い良く開けて、また転んでしまった。
ズザザザザーーー!!!
『いたたッ!!もう少し、もう少し……いたッ!!』
マリーナは、足を転んだ拍子に捻挫をしてしまった。
だけど……マリーナは意味が
分からない現象が起きた事を、
イエスキリストに報告し、祈りを捧げた。
そのうち、牧師さんが姿を見せると、マリーナは首をかしげた。
『牧師さんは??』
『何ともないの?!』
牧師さんは、マリーナのケガした足に、シップを張ると
何もかもを見透かした様に
話しだした。
『マリーナ……今まで、さぞや
辛かっただろう??これからは
お前が、本物の美しさを手に
出来るだろう。』
『マリーナ……もし、何かあればまた、ここにおいで。』
マリーナには、意味が分からなかった。ただ、帰り道では、
いきなり声をかけられたり。
大人の男性に、アイスクリームをご馳走になったり、
今まで、体験できなかった事ばかり起こっていた。
マリーナが、足をひょこひょことさせて歩いていると、
クラスメートは、賑やかさを、取り戻していた。
マリーナは、安堵したと同時に
不思議な光景を見た。
栗色のロングヘアーの女の子が
イジメられていた。マリーナは
その場に仲裁に、入った!だが、
クラスメートのみんなは、
マリーナを女王や姫の様に扱った。マリーナは、とても驚き、
そして、悲しんだ。
放課後、マリーナは自分の持っている、コンパクトを何気なく
出して顔を覗くと?!
『え??!』
マリーナは、この世の生き物とは
思えない。そう、美し過ぎる
外見に、変わっていた。
マリーナは、ホッペタをつねってみても、現実は変わらない。
一体、どういうこと?!
マリーナは、ただひとつ……
願った事は、
『私の全てを捧げます!』
と…………教会にある、
イエスキリストの像に頼みこんだだけだった。
マリーナが突然、手に入れた
地上のモノとは思えない
美しさは、
イエスキリストからの
プレゼントなのかも知れない………………
~Fin~
美しさを手に入れたい! たから聖 @08061012
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