「おこしやす、あやめちゃん」

ヤッキムン

第1話

ボクは、あやめ。


中3の時に、大阪に引っ越した。

ほとんど京都よりの大阪。


大阪の家に初めて入った瞬間、霊の存在を感じた。

夜、寝てたら、ボクの体を優しく抱きしめて愛撫してくる。

顔にキスしてるのも感じる。


ボクは、ちっちゃい頃から女の子みたいな体だったけど、毎晩、霊に抱かれて愛撫されてキスされているうちに、ますます、女の子みたいな柔らかくて曲線的な体になり、顔も女子みたいになってきた。


霊は女の子のように思う。

ボクのことを好きなんだと思う。


昔、知り合いだったのだろうか?


府立高校に進学することになり、高校の入学式の晩から、もう、霊の女の子は、夜、寝てても現れなくなった。


高校へは自転車で通学してるんだけど、高校の近くに行くと、霊の存在を感じるような場所あって、何があるんだろうな~って、しばらく思っていた。


そして何日か経って、その霊の存在を感じるあたりを入って行くと、伊勢寺のあることを知った。

伊勢寺は、百人一首などで知られている伊勢さんの、暮らしていた庵だった場所。


何かあるな~って思ってたけど、まさか伊勢さんの伊勢寺だったとは思いもしなかった。


朝、自転車に乗って、高校に向かって、その場所を通っていたら

「おこしやす、あやめちゃん」

っていう女の子の声、聴こえたようだった。




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