めざせ!転移門!★恋愛異令嬢世界を救う?成り上がって↑上がって↑調整国ゲーム

サイケ ミカ

1章まるまるプロローグ 第1話 よくあるシーンでいきなりクライマックス




「マイーケ・ルゥ・ヤァングア嬢、お前は一体何を企んでいる!!

大公令嬢への不敬罪で、地下牢に繋がれているはずの お前が、 地下牢の最奥で 古代魔法陣を発動させるとは何をするつもりだ!我自ら、再び拘束する!」


そう言いながらテュルク王将軍は、銀月色の髪を颯爽と靡かせて、

マイケルの白い首筋に、研ぎ澄ました白い刃を当てる。


テュルク・ラゥ・カフカス。


(あー、本当に好きになりかけていたんだけどなあ、、)


マイケルは、当てられた白い刃の冷たい感触と、

目の前に相対する冬の月が如くに冴えた瞳の冷たさを、どこか他人事に思うと

視線を地下牢の床に落とす。

そして、

自分の首に押し付けられた白い刃を、両の手で そっと持った。


(もう、丁度いいや。)

投げやりにマイケルは思う。


片やテュルク。


(当てられた刃を押しやって尚この女は、

己が腕枷から逃げるつもりなのか?そうはさせるか!)


刃を持つ利き腕に力を入れる。

同時に、


「ごめんな、さ、い。」


テュルクの腕枷の中から、マイケルの吐息がテュルクの耳を撫で、

マイケルの瞳に一瞬の光が宿った。


途端、


テュルクがハッキリと感じていた己が手の反発がフッと、急に解けて、

テュルクの白い刃の切っ先から真っ赤な鮮血の飛沫が飛んだ!



驚愕するテュルクが見れば、マイケルのうっとりとした様な表情が、

声に成らない言葉を『何か』語っている。


テュルクを他所に、朦朧とする意識の中でマイケルは理解しつつあった。


(ああ、好きかもしれない人の刃に薙ぎ斬られた、この稀有な感じ。)


そして胸に覚える、

(自分は『何』をやってきたのか、、)

少しの後悔。深淵に落ちる刹那、


もしかしたら、このままこの銀月の髪を持つ王将軍に、

斬首の介添えまでされるのだろうか?


(なんだか、それは悲しーな。とかetc.につらつら走馬灯しちゃったり。)


マイケルは目を見開いて、何かを叫ぶテュルクの様子を他人事のように 眺め、

テュルクに片手をフルフルと差し出してから、暗い処へ意識を落とした。


マイーケ・ルゥ・ヤァング嬢。


推定22才。

カフカス王領国 ウーリューウ藩島城にて 、王将軍自らの討伐により消滅。


ウーリューウ藩島に於ける改革を推進した功績から宰相補佐女官の役につき、

テュルク王将軍の寵愛を受けた元平民は不敬罪の末獄中にて討伐。

と、カフカス王領国史実に残された。


(って!これ、あんまりじゃない?!全然、報われなーい!!

馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!)


マイケルは、魂の深淵に落ちながら、思いっきり罵倒した。


(誰にか、わかんない!けどねーDown down, Down downって、

どこまで意識落ちるのーーー!)


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