前線部隊は元帥の夢を見るか?

東 南我

『全軍、突撃!』

  神はいるかどうかと聞かれたら、多分俺は否定する。俺たちは武器を取り、この戦場の前線に駆り出され戦うのだ。緑の軍服を着て、無常にならなければならないのだ。そうだ、このわだかまりができたのは───

「何言ってんだ。俺らはBB弾と発泡スチロールの剣だろうが」

「なんだよ!せっかくいい語りができてたのに!」

スコルの語りはポンプによって邪魔された。彼らは惑星ノープスに住む人間。彼らは惑星ペテルとの戦争を数十年と続けてきた。しかし、最近はというと競技性が高まってきて、あまり殺傷能力の高くない武器が使われるようになってきた。戦争とは何だったのか。彼らは他の兵隊と一緒にロケットに乗って戦場へ向かっていた。戦場はそこにつく直前までわからないなんていういらないドキドキもセットだった。スピーカーから女性の声が聞こえた。

「こちらエリダ元帥!こちらエリダ元帥!小惑星ホーグ、確認されたし!」

次にはゴゴゴという着地の音。そして扉がゆっくりと開いていく。1分、2分とゆっくり。

「やっぱこれ遅すぎるよな」

「わかる」

「こら!誰だ私の設計にケチつけるのは!」

「やめろよポンプ」

「お前だろスコル」

そうこう言い争っていると、周りの全員が一気に走り出した。扉が完全に開いたのだ。

二人も置いていかれぬようにと後に続けて走った。二人はホーグのフィールドが得意だった。盛り上がった岩石の山と辺りに舞う砂。二人はこの地の利を利用する。二人はすぐに別々の山上へ行く。頂上は砂が積もっていて、隠れるにはうってつけだ。そこに隠れては下にいる敵兵を射撃するのだ。BB弾で。彼らは負ける気はしなかった。

「バーン!」

「うお!?」

スコルはびっくりして声を出した。そして何かが背中に当たるのを感じた。

「致命傷ゾーン打ち取ったり!」

後ろには女がいた。発泡スチロールの剣をもって誇らしげにしている。

「ノーザン!」

「じゃ。私はこれで。この隙に撃たれっちゃったら大変うびゃ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!」

ノーザンは倒れた。

「うるさっ」

「致命傷食らった!マジかよ!」

スコルがその様子を一通り見てから、トランシーバーからザザッと音が聞こえた。俺はその通信に出た。

「何をしているのだね。スコル」

「げ、タウルス少将」

「少将だけで結構」

その言葉で通信が切れた。スコルは基地へ戻ることになった。何よりもそういうルールだったからだ。あとでポンプに笑われたのは言うまでもなかった。

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