第7話(番外編) 美乳と微乳の間には(R15) 2/2

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 数分後――。

 フィリスとイヴは同じ浴槽に入っていた。

 浴槽には、二人が入っても十分すぎるほどの広さがあった。

 入ってしまえば何ということもない。

 ランプや蝋燭は幻想的だったし、漂ってくる香りもリラックスさせてくれる。

 お湯も大分ヌルヌルしているが、これが肌艶をよくしてくれるように思える。


 やはり、ネクロマンサーの家系という先入観が良くなかったのか。

 フィリスがそう思って、大きな息を吐くと――。


「美乳ですね」


 そうイヴに言われた。

 その言葉に、フィリスは面食らってしまう。

 これまで同年代の人間とほとんど接してこなかった。

 接する相手は、せいぜい軍人の女性。

 あとは姉のノウェイくらいだが、あれは別枠だ。

 そういった、身体についての軽口を言われたのは初めてだった。


「どうしました? 美乳のフィリスお姉さま」

「何でもないわ。ただちょっと、驚いただけ。そんな事、なかなか言われないから」

「そうでしたか。ちなみに、私はどうですか?」

「どうって……」

「美乳のフィリスお姉さまから見て、私の乳はいかがでしょう?」

「あの、とても可愛らしいと思うわ」

「それはありがとうございます。ところで、美乳のフィリスお姉さま」

「その『美乳の』ってつけないと駄目なの?」

「いいじゃないですか。戦果を挙げて二つ名がつくことになったら、是非『美乳』を選んでください。というか、私が根回しをしておくべきでしょうか」

「真面目に検討しないで!?」

「そうですね。美乳のフィリスお姉様には、魔王を討伐していただかなければならないのですから。そうなったら、きっと『勇者』の称号を得ることになるでしょう。残念ですが『美乳のフィリス』の名はお預けですね」

「私が魔王を倒せるとは思えないんだけど」

「そんなことはありません。ところで――」


 そう言いながら、イヴはフィリスに接近した。

 そして、顔をフィリスの胸に接近させ、問いかける。


「その美乳、触ってみてもよろしいでしょうか?」

「話題が私の胸から離れない!?」


 フィリスはそう叫んだ。

 同性とはいえ、他人に胸を触られることには抵抗があった。

 だが、年下の少女のお願いを断るのも悪い気がしていた。

 それは、ただの好奇心からくるお願いであるはずなのだ。

 断ると、余計に意識しているようにも思えてしまった。

 だから――。


「え、あ、うん。構わないわ」


 渋々ながらも、受け入れてしまった。

 それが地獄の始まりだった。

 否――地獄は、一緒に風呂に入った時から始まっていた。

 返答を受けたイヴは、ごく自然な仕草でフィリスの胸に触れる。

 それは、一見珍しいものに触る無垢な少女に映るだろう。

 だが――。


「ん……っ」


 イヴの手は、的確にフィリスの胸に刺激を与えてきた。

 まずは、指で乳房の周辺を刺激する。

 ゆっくりと、擦るように。

 そのもどかしい速度が、フィリスに快感を与えた。

 そして、回り込むように指を滑らせ、段々と乳首へと近づけていく。

 それは、純粋無垢な子供の手腕ではない。

 性感を熟知した玄人の手練手管である。


 その刺激によって、フィリスの乳首がぷくりと膨らむ。

 それが何を意味するのか、目の前の少女は分かっているのだろうか。


「イヴちゃん、ちょ、この辺で止めて――」

「いえいえ、ここからが本番です」


 そう言いと、イヴの左手が、フィリスの胸以外の場所に移動する。

 まずは腰。

 ゆっくりと指を這わせると、その感触にフィリスは腰をくねらせた。


「ななな、何でそんなに上手いの!?」

「上手いとは?」

「だから、こう――」


 気持ちよくなってしまうような触れ方をするのか。

 そう問いたかったが、それは出来ない。

 この少女に、そのあたりの知識を与えてしまってよいものか。

 そう考えたのだが――。


「お気遣いは不要ですよ。このアンダーウッド家はネクロマンサーの家系。人間の身体のことでしたら、熟知しています。ですから『どうして、ここまで性的に気持ちよくさせることが出来るのか』と遠慮なく聞いていただければいいのです」

「そ、そう? それじゃあ、あの、何でなの?」

「それは、人間の神経で説明がつきます。そもそも、人間の神経というものは一種類ではありません。身体の部位の位置を常に把握するための神経や、痛みを感じるための神経があります。ほかにも、快感を脳に伝えるための神経というのも存在しまう。その快感を伝える神経は、秒速3cm~10cmで動く刺激に対し、もっともよく反応することになるのです。ですから、それさえ気を付けていれば――」

「ひゃっ!?」

「こうやって、ゆっくりと触れるだけで、快感を与えることが出来るのです」


 そう言って、イヴは左手の指をフィリスの身体に這わせた。

 まるで、人間とは別の生物がランダムで這いまわるかのように。

 フィリスはそれに耐えがたくなり――。


「そ、それじゃあ、私はもう出させてもらうわね。私、元々お風呂には長く入らないほうだから」


 そう言って、浴槽から出ようとした。

 だが、その直前、フィリスの全身に電撃のような衝撃が走った。

 全身が痺れるような甘い感覚。

 それが全身を駆け巡り、フィリスの身体から力が抜ける。

 腰砕けになったフィリスは、再び浴槽の中に身体を落とした。


「今のは――」

「私の魔力です。実はこれ、魔力伝導率を上げることが出来る液体なんです。だから、この液体を通して、フィリスお姉さまに――美乳のフィリスお姉さまに、魔力を注がせていただきました」

「そんなことが出来るの?」

「勿論、出来ますよ。ネクロマンサーですから」


 イヴはそう言うと、再度体内から魔力を放出した。

 それは、浴槽に満たされた液体を通じて、フィリスの身体へと注ぎ込まれる。

 それにより、フィリスの身体には凄まじい快感が与えられた。


「あ……っ。ん……っ」


 フィリスの口からは小刻みに声が漏れる。

 小さな子供の前で、そんな痴態を見せるわけにはいかない。

 そう考え、必死に我慢しようとしても、声は次々と漏れ出てきてしまう。


「他人に魔力を融通するというのは、ネクロマンサーの基礎技術です。ちなみに、魔力を他人から注がれる際には、えも言えぬ性的快楽が伴うことになります。ですから、私は魔力を使ってお姉さまを気持ちよくしてさしあげているのです」


 要は、魔力によって攻撃されているようなもの。

 魔法という型にはなっていないが、原理は同じだ。

 だとすれば――。


「【フォース】」


 フィリスは身体強化魔法【フォース】を使った。

 魔法使いは、体内魔力の循環速度を上げることで身体能力を強化することが出来る。

 この【フォース】は、体内魔力の量を倍増させたうえで、更に循環速度を上げる魔法だ。

 つまり、通常より一段上の身体強化を行える魔法なのだ。


 これを使えば、魔法への抵抗力も高くなる。

 きっと、イヴからの『攻撃』に耐えることが出来るはず。

 フィリスはそう考えていたのだが――。


「はぅ……っ!?」


 そのタイミングで、イヴの指が動きを変えた。

 これまで胸の外延部を這っていた指が、突然乳首に当てられた。

 とたんに、これまで溜まっていた快楽が、一気に爆発した。


「うぁ……っ。あっ……」


 フィリスは泣きそうな表情になりながら声を上げる。

 その様子を確認したイヴは、フィリスの乳首から魔力を注ぎ込んだ。

 そこは、魔法使いにとっての弱点。

 元々皮膚が薄く魔力への抵抗力が小さい部分。

 こういう部位については、魔力による身体強化の効果はほとんど生まれない。

 むしろ――。


「この状況を待っていました」


 イヴが乳首から魔力を送り込み、フィリスの集中は完全に失われた。

 その結果【フォース】によって膨れ上がっていた体内魔力が暴走を始めた。


「あああぁぅ!」


 暴走した魔力は、体内の魔力回路を暴れまわり、一時的に機能不全に陥らせた。

 つまりは、魔力を使えない状態。

 魔力への抵抗力を失った状態になっていた。

 だから――。


「あああああぁぁああああああっ!?」


 フィリスの身体に、先程までとは比べ物にならないほどの刺激が与えられる。

 その快楽はフィリスの脳を侵食し、フィリスは意識を朦朧とさせた。

 その状態のフィリスに、イヴは熱い視線を向けていた。


「これで準備は整いました」

「準備……?」


 イヴは、おもむろにフィリスにキスをした。

 その突然の出来事に、フィリスは大きく目を見開いた。

 朦朧としていた意識が、動揺と混乱の渦に放り込まれる。

 ファーストキスを奪われてしまったこと。

 それを奪ったのが、同性であり年下の少女であったこと。

 その信じがたい事実を脳が受け入れていなかった。

 だが――。


「ふぅ……っ!?」


 衝撃はそれだけでは終わらない。

 フィリスの唇の間を、イヴの舌が強引にこじ開けようとしているのだ。

 魔力による快感で身体に力が入らなくなっているが、何とか口を固くふさぐ。

 これで、一応舌の侵入を防ぐことは出来た。

 そう思ったのだが――イヴにとって、その程度は障害にもならなかった。


 イヴは舌でフィリスの唇を執拗に舐めた。

 そして、防壁を崩すかのように、唇を突き、吸い上げる。

 チュッチュッという淫靡な音が室内に響く。

 それが繰り返されているうちに、フィリスの唇に痺れるような感覚が訪れた。

 同時に、口を閉める力が弱くなる。

 その隙を見逃すことなく、イヴは舌をねじ込んだ。


「ふぁ……、あ……」


 呻くような声を出すフィリス。

 口内で発生した、気持ち悪さと性感。

 それらが相まって、フィリスの表情を蕩けさせる。

 だが、それでもイヴの攻撃は止まらない。

 イヴは、お湯を通してフィリスに注ぎ込む魔力量を増やしていった。

 それにより、フィリスの性感は一つ上の段階へとシフトした。


「あ……っ、ああ……っ!」


 一秒ごとに、リズミカルに極限の快楽が体中を駆け巡る。

 それに対し、フィリスは抵抗することが出来なかった。 

 なされるがままだった。

 その上、イヴの超絶テクニックがフィリスを襲うのだ。

 身体はその快楽に反応し、小刻みに腰を震わせている。

 フィリスは、いつ終わるとも分からない快楽に身を任せるしかなかった。


     4


 そして十分後――。

 フィリスはほとんど意識を失っていた。

 自分の体とお湯との境目がなくなったような感覚。

 そんな感覚に包まれながら、ひたすら与えられ続けた快感に身をゆだねていた。


 頭は浴槽の縁においてあり、顔は力の抜けた表情を上に向けている。

 口元からは涎が垂れており、そこからは時折甘い喘ぎ声が漏れ出てくる。

 フィリスの意識は、完全にイヴの制御下に入っていた。


 だが、それが突然止まる。

 同時に、フィリスの意識は現実へと引き戻された。


「あれ、私、何をされたの?」


 フィリスは目の前にいるイヴに向かって言った。

 そして、これまでのことを徐々に思い出した。

 イヴの圧倒的なテクニック。

 それに溺れて見せてしまった痴態。

 それらの情報がフィリスの頭に浮かびあがり――。


「うわわわわ――。あ、ああ……」

「フィリスお姉さま。落ち着いてください」

「こ、これが落ち着いていられるわけないでしょ! イヴちゃん、貴女一体――」

「申し訳ありません。フィリスお姉さまが魅力的だったので、つい」

「つい、で出来る技術じゃなかったわ!?」


 そう言いながら、フィリスは立ち上がった。

 とにかく、この浴槽を出なければならない。

 そう思ったのだが――。


「あれ?」

「どうされましたか?」

「なんだか、身体が軽いような気がする」

「ああ、そのことですか。実は、フィリスお姉さまの体内に、魔力の淀みがあるのを見つけまして。その身体を色々と弄らせていただいたついでに、その淀みを解消し、魔力循環がよりスムーズに行えるように調整させていただきました」

「そうなの?」

「はい」

「そ、それはありがとう」

「いえいえ、私としてもフィリスお姉さまには生きていてほしいですから。それに、お礼を言うのはこちらの方です」

「いや、そんなことは――」

「フィリスお姉さまの痴態、最高でした!」


 イヴは、爽やかな笑顔と共にそう告げた。

 これまで見たことがないほどの爽やかさ。

 次からは、イヴと一緒に風呂に入るのは止めておこう。

 フィリスはそう決意した。

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