第13集 食の作法


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 主食、副菜を頂いたら、副菜の椀に主菜の乗っていた皿を薄焼きせんべいのようにパリパリと割り入れる。そこへお茶を注ぎお茶漬けに。そのまま食べても良いけど私はお茶漬けが好きだ。おかずの味で減塩になるしね。最後にお椀も齧る。湯が染みて程よく柔らかくなったお椀。最後に箸をぽりぽり食べておしまい。


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 取り出し口に出力された茶色の球体。表面はゼラチン質で固まっている。その上部にスプーンでコンコンとヒビを入れるとスパイシーな風味が鼻腔を刺激する。割れた所から中身を掬って食べる。中心部のライスを崩し表層のルーを混ぜるとウマイ。スプーンを齧ると、甘酸っぱいらっきょう味が引き締める。やっぱりカラーボウルが好きだな。


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 禅の高僧が食の作法を記してから2000年。食器すら食べ切る新しい作法が発達してから食器とは飾り愛でる物。私の自慢の21世紀食卓コレクションを友人が白手袋で鑑賞する。私が得意げに言う「このシールが貼ってあるのは大変貴重でね」。そこに記されたのは「¥110」。

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