第20話 ラインハルトフィードリヒ

side:エリカ




何故か突然オルヴィエート王国第3王子、ラインハルトフィードリヒ様が訪ねて来られたので


私は急いで応接室に向かいます。


すぅーはぁー、すぅーはぁー、深呼吸で気持ちを落ち着けて



『コンコン、ガチャ』


「お待たせ致しましたラインハルトフィードリヒさ、、ま?!」


「こんにちはエリカさん♪突然来てしまったけど大丈夫かな?ジャムの販売について話したいんだけど」


「えぇーっと、あなたはラルフさんですよね?」


「そうだよ、でもその反応だとやはり知らなかったんだね。」


「ええ、まさかラルフさんが第3王子だったなんて」



「騙すつもりは無かったんだけど、学園では母上の家名であるセレナイト公爵家のラルフとして通っていて、王子として扱わないというのが暗黙のルールなんだよ」



「他の学園の皆さんは御存じなのですか?」


「直接聞いた訳じゃないけど、第3王子として公式の場に出た事は無いから僕の顔を知ってる人は少ないんじゃないかな


セレナイト公爵家と親しい人達は当然知ってる事だけど」



「えっと、これからもラルフさんと呼んでも宜しいのですか?」


「勿論♪エリカさんとはこれからも対等な関係で居たいから」


「、、、対等ですか」


「そこはあまり深く考えないで欲しいんだけど、そんな事よりジャムの話をしよう!


単刀直入に言うとセレナイト公爵家が100%出資するから商会を立ち上げない?」



「え゛っ?!」


「驚くのも無理は無いけどジャムは絶対売れる!蒸しケーキだって新しい物好きの貴族は必ず買うだろう。


これはセレナイト公爵家にとってはローリスクハイリターンの、とても美味しい話だから出資するのは当然の事だよ」



「確かに貴族には売れるだろうと思い商会を立ち上げる計画をしていましたけど、、、」


「ん?気になる事があるなら遠慮無く言って欲しい、僕とエリカさんは商売上のパートナーになるんだから」


「それでは失礼を承知で言います。ラルフさんの事は信用していますが、私はセレナイト公爵家の事を『信用する』事も『信用しない』事も判断出来るほど知りません」



「・・・ぷっ、あははははははは(笑)」



あれ?


私は何かおかしな事を言ったのでしょうか、ラルフさんが爆笑してしまいました



「あの、ラルフさん?」


「ごめんごめん、エリカさんが僕の想像していた通りの人で嬉しくて♪普通の貴族はセレナイト公爵家の名を出せば手放しで喜んで信用するものなんだよ、本音はともかくね


でもエリカさんは僕が第3王子である事も知った上で、堂々とセレナイト公爵家の事を知らないと言ったんだ


こんなに楽しい事が他にあるだろうか♪」



ラルフさんの言っている事はちょっと意味が分からないけど、不敬とか言われなくて良かった


前世の春山絵里香の記憶があるせいで、貴族に対する価値観が変わって来てるのを感じるからこれからは気をつけなくっちゃ



「決めた!エリカさん、僕と結婚を前提にしたお付き合いをして頂けませんか」


「なっ?!」




急展開過ぎぃー!


ラルフさんは第3王子にしてセレナイト公爵家の方ですから


エリカ・ウルツァイトハートの結婚相手としてなら断る理由は無いのでしょうけど


しかし、今の私は春山絵里香の記憶を持っていますから、12歳で結婚相手を決めるとかちょっと無理ぃー(汗)




『バンッ!』


「待てぃっ!私の可愛い可愛いエリカが欲しければ、私を倒してからにして貰おう!」



おっ、お父様?!


急に応接室に入って来て何を勝手に言ってんのぉー!!






つづく。

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