最終回 やっぱり生きるって楽しい!

「瑞稀、カラオケしない?」

「えー、今から? 外寒いしだるいんだけど?」

「ふふふ、世の中にはね?『フリーBGM』というモノがあるんだよ。それを流しながら歌えば、即興のカラオケさ」

「即興で歌詞作るってこと? あたしあんまり自信ないなー」

「大丈夫! 歌い出しは僕がやるし、サビ以外のメロディーは最初は気にしなくて良いから、ね? お願い!」

「しょーがないなー」

 琇がスマホをスタンバイする。


「じゃあ行こう!『やっぱり生きるって楽しい!』——————」




 だけどやっぱり生きるって楽しい

 だってき み と 僕ら がいる

 みんな毎日ダラダラすごして

 みんな毎日せかせかす すも  う


 やっぱり生きるって楽しい

 だってあたしらと あんた がいる

 だって色んなやつらがいるから

 沢山のあたしらが見 える か ら


 いちにっさーんで オッケーイには

 世の中なかなかならぬかもだけど

 スリットゥッワーンで ニッコリなら

 楽々誰でもできるハズだから


 それはムリ つーか むずかしーって

 笑うべきトコロで泣くことも あるし

 あ でもそーかそーゆーコト か

 泣きそうなトキも笑えばいーのか

 

 だからやっぱり生きるって楽しい

 笑顔な ら な おた のしい

 嬉しいトキはみんなでニコニコ

 悲しいトキはヘラヘラふっ飛ば そ う


 やっぱり生きるって楽しい

 ムカつき も やっぱた のしい

 雨ふれ ば地面は 固まる

 固まれ ば後にはと ける か ら

 

 


「——————良いじゃん良いじゃん! 瑞稀! やっぱ君サイコー!」

「うっせーわ! いきなりラップとか難易度高すぎっ」

「ははっ! すげー楽しい!」

「ふふっ、まーね?」

「さて、そろそろ『中トロ』が終わるよ?」

「なにそれ?」

「間奏のこと! 今考えた!」

「あははははっ! あんたやっぱクセ強すぎっ! じゃ、次サビ以外あたしね! んで、サビは一緒に歌いたい!」

「オッケーオッケー、瑞稀サマの仰せのままに——————」




 たまに は ひ とり

 で過ごしちゃって も 良い

 楽しさに つ か れ ちゃ ったなら 

 ばそ れ も 良い


 楽しくな い と きは

 一人で泣 い て も 良い

 一人で充電決め込ん  だなら  

 ばそ れ も 良い



 だけどやっぱり生きるって楽しい


 だってあたしらと


 僕ら がいる


 だからあんたの前ではニコニコ


 そしてぼ くはいつもヘラヘラ だ ぜ


 やっぱり生きるって楽しい

 みんな一緒なら すげー楽しいんだよ

 輪になってもならな くても良い

 だっていつでも つながってる か ら

 


「——————ヒューヒュー!」

「指笛できねーからってウゼー声出すな!」

「くくっ、やっぱ口悪っ」

「てか『ヘラヘラだぜ』ってナニ? 笑わせる気だったでしょ?」

「あはは、ちょっとふざけた」

「まったく……ねえ琇? あたしら大人になったらさ、皆んなと、どうなるのかな?」

「ずいぶん先の話だね? 心配いらないよ」

「え?」

「だって僕はどころしゅう! 君はかわごえみず! それだけでダイジョーブ! 完璧なロジック、そうでしょ?」

「どこがロジックよ? でも、そうなのかもね」


 筋道が立ってようとなかろうと、私達の先にあるものが道であることに変わりはない。一人だけで進む必要もないし、時には一人で進んでも良い。

 私達が他の人を見ようとする限り、他の人達も、大丈夫だ。

 何故ならそれは、大丈夫、だから。

 ——完璧なロジック、そうでしょ? ——————。


 

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