いい子ポイント

藤間伊織

おねがい

最近、頑張ってることは何?って聞かれたらぼくは間違いなく「ポイント集め!」って答えると思う。この間、保育園のお誕生日インタビューでもそう答えた。

ポイントっていうのはお母さんが「そらがいい子にしてると貯まるポイントよ。50ポイント貯まったら好きなものをあげる」ってぼくにカードをくれたのだ。

最初は50ポイントなんて多すぎる!と思ったけど、お母さんはいろんなことでぼくにポイントをくれた。

荷物を持ったり、洗濯物をたたんだりとお手伝いをしたときはもちろん、お友達と喧嘩したり、お母さんの言うことを聞かなかったときも「でもちゃんと自分から謝ったでしょ?」、「お母さんとお話合いして新しいルールを作れたよね」とポイントをくれた。


「そんなに簡単にポイントをあげていいの?」と聞くと、

お母さんは「いい子ポイントは空が成長した時に貯まるのよ」と笑っていた。



そしてついにこの間、50ポイント貯まったんだ!そのとき嬉しくてすぐに変身ベルトをお願いした。保育園でお友達に自慢されてつい欲しくなってしまったのだ。お母さんはちょっとびっくりした顔をしたけど、優しく笑って「わかった」と言ってくれた。

だけど、あれはちょっとケイソツ過ぎたとぼくは後悔した。前にお父さんが

「空、もし何か欲しいものがあっても軽率に決めずによく考えるんだよ。人生には計画性が大事なんだ」

と言っていた。ぼくにはちょっぴり難しかったけど、つまり「よく考えること」が大事ということらしかった。

だからぼくは今日一日、お絵かきの時間も運動の時間もお昼寝の時間だって寝ないで考えた。きっとまだ別のお願いをしても間に合うはずだ。そしてとびっきりのお願いを思いついた。早くお母さんに言いたくてお迎えの時間が待ち遠しかった。

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