第9話オイシックスの作業

オイシックスラダイチからみらいずが請け負っていた仕事は食材キットを完成させて出荷することであった。


豪志は2021年8月に入社したが、はじめは仕事について行けず失敗続きだった。しかし、毎日働いていると作業工程の全貌も見えてきて、自分がなにをするべきか徐々に理解していった。


食材を加工する工場もあったが、豪志が回されたのは主に食材を袋に詰めて食材キットを完成させ、それを出荷する部署。


そして就職して半年も経つと、本来スタッフしかできない最終工程、通称「バッカン」を担当することになった。


はじめの1ヶ月は西村社長にくっついてバッカンのやり方を覚えていったが、次第に西村社長に「根岸さんはもうひとりでできますね」と完全に任されることになる。


バッカンは主に運動神経抜群の19歳シンボウ君と並立した。作業場は2レーンあって、Aレーンはシンボウ君、Bレーンは豪志が担当。


バッカンをやるときに一番心がけていたのは「人」を育てることだった。新米の利用者でも見込みがありそうなら、簡単な工程から徐々に覚えさせて最終的には何人も一人前のバッカン要員に育てあげたつもりである。


人を育てるときもっとも重要なのは、怒らないこと。とにかく自信を持たせてバッカンの仕事が楽しくて仕方なくなるように仕向けた。


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