第10話ヒトミちゃん

みらいずに就職し、割りと早い段階でヒトミとは親しくなった。8歳年下だから、当時37歳。ヒトミは164cmで色白スレンダー、県立柏高校卒で頭の回転も良かった。


仕事の休憩時間、お昼休憩。豪志はたいていヒトミと一緒に過ごした。

ヒトミは野田市の運河から通っていて、在宅ワークが中心だったので、食品加工工場には月水しか来なかったが。


なぜヒトミと上手く行かなくなったのかは分からないが、ある日のお昼どき、スーパーで買ったスキヤキ弁当を広げながら、

「スキ、ヤキ弁当」と小声で言うと、普段大人しいヒトミが珍しく身を乗り出して、

「なんだって!?」と。


みらいずNo.1美少女のめぐみちゃんともそこそこ仲は良かったが、めぐみちゃんはモテるのでいつもほかのヘテロたちに囲まれていて、なかなか豪志と2人でゆっくり話す機会というのがなかった。


美少女ナンパのとき、本当に気を使うのは美少女自身の動向ではなく、周囲のライバルヘテロたちの視線であった。モテる男というのはそれだけで迫害されるものであり、特に仕事中などいのちに直結する現場で周囲のヘテロたちを敵に回すのは得策とは言えない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る