3-10 小1のバレンタインデー

 三学期と言えば、冬休みの宿題で書いた書初め?いや、バレンタインデーでしょ。

 まあ、このころっていうのはバレンタインデーが何なのか知らないし、恋も知らない。好きって何かもわからない。そんな状況だ。

 同級生の中には知ってるやつもいただろうが、自分は知らなかった。

 嫌われるのは嫌で好かれたいとは思ってたけど、loveじゃなくてあくまでlike。



 この年、もらったのは二つ。いきなりモテキかな?

 一つはみなさんご存じの安芸。もう一つは全然知らない中居という人。いや、まあちょっとは知ってる。同じクラスだったし、ワッキーとかいうちょっと仲良かったやつのスカートめくりに参加させられ、その被害者になった人物である。当然だが彼女は泣き、ワッキーと自分は担任に怒られた。全部ワッキーのせいにしたけど。だが、なぜその人からもらえたのかは全く謎である。好かれる要素が1mmもない。一応市販のそれなりの大きさの♡のチョコだったけど、義理チョコとか友チョコとか概念のない時代だし。本当に謎。


 安芸の方は本気で好きだったみたいで、手作りチョコをくれた。生チョコだ。しかも、自分のために全部ひとりで作ったらしい。すごい。才能を感じる。でも自分はまだ、恋というものを知らない。ありがとうだけ返した。

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MoL まれ @mare9887

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