3-4 とある行事
小学校に入ってすぐ、とある行事が伝統としてあった。名前は思い出せなかったが内容は覚えている。
学校のことを知るために探検するというものだ。
ただ、それだけじゃなく新入生の歓迎も兼ねたものである。
一年と六年がマンツーマンでペアになり、そのペアのツーペアで一組になる。その状態で回る。チェックポイントがあったり、二年から六年までは出し物をしていてそこに行ったりする。そんな行事だ。
おそらく複数の場所に回ったはずだが、一つだけはっきりと覚えている。おそらく恐怖で。理科室でお化け屋敷をやっていた。でもそれは名ばかりでそんな脅かしてくるとかなにか特別な仕掛けがあるとかそんなんでもなくたまにお化け役の人が登場して終わるものだった。それだけなら何もここまで覚えてなかっただろう。起きたことはシンプル。歩いているときに自分だけ足を捕まれ動けなくなったこと。なんせ六年の力だ全く抜け出せなかった。声を上げて、助けをペアだった人たちに求めたが届かず、そのまま理科室を出て行った。つまり、気づかず置いて行かれたのだ。黒いカーテンの閉まった理科室に一人一年がいる状態になった。
ちょっとしてからお化け役の人が手を足から離してくれた。ようやく動けるようになり、追いかけた。追いついたと思ったらそのペアの人からは「何してたん?」の一言。
これだ。これで、俺は置いて行かれる恐怖を味わった。そしてずっと頭に残っている。
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