終わった世界はそれでも明日を夢に見る ~ねえねえ、そろそろいい加減にやめてくれないだろうか? 俺はもう疲れたよ~
mackey_monkey
1.早朝 終わらない世界
小さな窓から朝焼けとも夕焼けとも区別のつかない、燃えるように真っ赤な陽が暗い部屋に射し込む。
この光の射す方角が西か東かさえ遠い時間の彼方に置いて来てしまった。
そもそもそんなことを最後に気にしたのはいつだったか。
何もかもが普通だった。
当たり前だと思っていた日常が、当たり前でなかったと気が付いてしまったのはいつだったか。
あるいは最初から_。
いつもと同じ、三角の天井を眺めながら俺は目を覚ます。
窓からは相変わらず真っ赤な陽が射し込んでいる。
部屋の中を静寂が包み、ただカチカチという針の音が響く。
鉛丹色に照らされた部屋の陰鬱な雰囲気は、静寂の中に響く時計の音と相まって、ある種の地獄のようにも思えた。
頬をかすめる冷たい風を感じながら、もう一度眠ってしまおうと思いつつも、ほんの少し魔が差して俺はそのまま起き上がってしまう。
ゆったりと体の上に重くのしかかる布団をどけると、先ほどまで体を包んでいたぬくもりは消え、寒さが肌を刺す。
そうして一歩、一歩、重い足取りで陽の射す小さな窓の方へ近づいていく。
窓の前に立つ。
前にも見た風景だ。
何度も、何度も、何度も、
繰り返し見た。
そして、また俺は網戸を開けて外に手を出そうとする。
縋るように、手を伸ばす。
____。
伸ばした。
その筈だった。
気が付けば俺は息を荒げながら、
_また、赤く照らされる三角の天井を見つめていた。
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