ゼロからはじまる冒険

はらぺこおねこ。

Scene01 そして異世界へ

第1話 ゼロから始まる物語

「いつかはわかると思うけど。

 このままでは君は死ぬぞ」


見知らぬ女の子が男に話しかける。


「誰?って顔をしているね」


男は答えない。


「名乗るほどのものではございません」


「あーあー」


男は喋れない。


「そっか喋れないんだったね」


「言語レベルの経験値を10ほどあげてあげよう。

 私は、時の女神。

 異世界転生ボーナスにより、貴方が望む能力を1000倍にすることができるの」

 

「棒茄子?」


「あ、学習レベルもアップしてあげる」


「えい」


男の体がピカリと光る。


「今の貴方はすべての言語をマスターできることになったわ」


「……」


「ってなにか喋りなさいよ」


「ごめん、こんなときなんて言っていいかわからなくて」


「そ、そうよね」


「ところで僕は死ぬの?」


「そうよ。

 今の状況わかっている?」


男は周りを見る。

そして初めて気づく。


狼に囲まれていることを……


「えっと?」


「ちなみにそのモンスターは強いわよ?

 といっても全てのステータスが1000倍の君なら倒せるはず!」


時の女神はニッコリと微笑む。


「女神さんは戦わないの?」


「ちなみに私は戦えないわ。

 そして誰にも私のことは見えない。

 なので口は出せても手は出せないわ。

 ってなわけで頑張って!」


「う、うん」


男は剣を握り締める。

でも剣は重い。


「もしかして持てない?」


「うん」


「えっと1000倍よ?

 ステータス1000倍」


時の女神は不安になり男のステータスを見た。


 名前:イチ

 力 :0

 魔力:0

 体力:0

 素早:0

 素質:0


「……ごめん。

 死んだ」


時の女神が小さく言った。

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